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つくば市におけるSDGsの取り組み|環境モデル都市として躍進
Friday, 17 January 2025
早くから温暖化対策に取り組み、環境モデル都市に選定されたつくば市は、持続可能な都市に向けたSDGsの取り組みも積極的に進めてきました。
今回は「SDGs達成のための、地域の取り組み」をテーマに、つくば市の特徴や課題、目指すべき未来像に向けたSDGsの取り組みを解説します。
SDGsの取り組みが進むつくば市の特徴
つくば市は、優れた立地と豊かな自然環境に恵まれ、高水準の研究機関が多数あることで知られています。まずは、SDGsの推進にも影響しているつくば市の特徴を見ていきましょう。
<海外や都心部からアクセスしやすく、都市機能と自然が融合したまち>
つくば市は、成田国際空港から約40km、東京駅から約50kmに位置する、利便性に優れたまちです。つくばエクスプレスが開通したことで、つくば駅から東京駅まで45分でアクセスできます。
また、平坦な地形が特徴で市の北部には関東を代表する名峰の筑波山、東部には国内2番目の広さを誇る湖、霞ヶ浦があります。交通の便が良く、豊かな自然環境に恵まれているのが特徴です。
<研究学園都市でもあり「環境モデル都市」に選定>
つくば市には、高水準の研究と教育を行うことを目的に建設された都市、「筑波研究学園都市」があります。国の試験研究も実施されており、国内の約3割の研究機関が集積する日本最大の科学技術の集積地です。
つくば市では平成20年に、2030年までに市民1人あたりのCO2排出量を50%削減することを目標とした「つくば環境スタイル」を策定し、温暖化対策に取り組んできました。その取り組みが評価され、平成25年3月には国から「環境モデル都市」に選定されています。
都市の発展に伴う、建築活動や移動手段によるCO2排出量を大幅に削減するモデルとして、市民や企業、団体、研究機関、行政が一体となり「つくば環境スタイル“SMILe” みんなの知恵とテクノロジーで笑顔になるまち」を目指しています。
(参考:https://future-city.go.jp/torikumi/tsukuba/
https://www.city.tsukuba.lg.jp/shisei/torikumi/kankyo/1014443/1001881.html)
つくば市が抱えるSDGsの課題
温室効果ガスの削減など、低炭素社会を目指し先進的な取り組みを進めているつくば市ですが、SDGsに関する課題も抱えています。そのひとつが「人口減少・少子高齢化」です。
つくば市の中心部以外では子どもが減少していることにより、小中学校の統廃合が増え、廃校の跡地の活用が問題になっています。2030年からは生産年齢人口減少が顕著になり、労働力の低下や税収減も懸念されています。
2つ目の課題は「格差の拡大や子どもの貧困」です。2018年2月時点で生活保護レベルの環境で生活している小中校生は、1,269人いると報告されています。つくば市ではこれらの課題に対して先進的な解決策を提示し、持続可能な都市へと発展させていくことが求められています。
(参考:https://www.city.tsukuba.lg.jp/material/files/group/20/SDGskeikaku_2018-2020_1.pdf)
SDGs達成を目指すつくば市の取り組み
つくば市では世界の共通問題を率先して解決し、市の優先課題を考慮するとし、5つの柱立てを行いました。5つの柱立ては次の通りです。
1.こどもの未来
2.包摂的な社会
3.価値の創造と継承
4.誰もが使いやすいインフラ
5.循環と環境保全
上記の5つを柱として、持続可能な都市の実現に向けて優先的に取り組みを実施するとしています。
ここからはSDGs達成を目指す、つくば市の取り組みをいくつかご紹介します。
(参考:https://www.city.tsukuba.lg.jp/material/files/group/20/SDGskeikaku_2018-2020_1.pdf)
<「つくばこどもの青い羽基金」を創設>
つくば市では子どもの未来を支援することを目的として、2019年4月に「つくばこどもの青い羽基金」を創設しました。
貧困の連鎖を断ち切るとともに、すべての子どもたちが夢と希望を抱いて成長できるよう、寄付金は子どもたちの支援活動に活用するとしています。
活用事業の例としては、安心して過ごすことのできる居場所の提供や、子ども食堂の運営、学習塾代の助成金などです。
<「つくば市こども未来プラン」を策定>
つくば市では、SDGsに沿った包摂的・包括的な支援として地域や団体、学校などとの連携を図り、子どもが安心できる居場所や学習環境で子どもを育む、「つくば市子ども未来プラン」を実施しています。
所得水準による学習環境の違いをなくし、自己肯定感や将来の夢、目標設定力などを持つ児童生徒の割合を増やすのが目的です。また、希望者全員の高校進学・卒業もねらいとしています。
<スマートモビリティーの実験と導入>
つくば市では、環境モデル都市として最新のテクノロジー技術を活用したスマートモビリティーの実験や導入の促進を行っています。
例えば、超小型モビリティや電動キックボードなどのパーソナルモビリティーの導入促進です。超小型モビリティーは、防犯パトロールや商店の配送などの実験を行っています。
CO2を排出せず移動が簡単にできることから、低炭素社会の促進に貢献する取り組みです。
(参考:https://future-city.go.jp/torikumi/tsukuba/)
<地産地消の推進>
つくば市では、地産地消の推進を行っています。つくば市民の日の学校給食には、つくば産の豚肉や小麦、野菜を使った地産地消メニューを提供するのも、取り組みのひとつです。
また、市役所ではプチマルシェが行われ、地元で採れた農産物が地域内で消費でき、輸送にかかるCO2排出量を削減しています。
地産地消を推進することで、地元経済の活性化にもつながる取り組みです。
(参考:https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2019/001/doc/20190623_shiryou2.pdf)
最先端の取り組みでSDGs達成を目指すつくば市に期待!
つくば市は人口減少や少子高齢化、子どもの貧困などの課題を解決し、テクノロジーの活用でみんなが笑顔になれる持続可能な都市を目指しています。
最先端を行く、つくば市のSDGsの取り組みに今後も目が離せません。
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