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韓国・ソウルのUrban Farming|始まった背景や事例を解説

Friday, 15 November 2024

韓国の首都、ソウルでは食料自給率の向上や環境保全、地域コミュニティーの活性化を目的として都市農業のUrban Farmingが広がっています。

持続可能な都市づくりに向けて2011年頃から政府がUrban Farmingを推進しているという点も、拡大の理由のひとつです。

今回は韓国・ソウルのUrban Farmingが始まった背景や事例を解説します。

韓国・ソウルでUrban Farmingが始まった背景

韓国の首都・ソウルでUrban Farmingが始まった背景には、都市が抱える問題が関係しています。具体的には急速な都市化による農地の減少です。これにより地元での食料生産が減少して輸入食材に依存する傾向が強まり、ソウルの食料自給率が低下しています。

 

食料自給率の低下は、災害時や国際情勢の変化に伴う食料供給リスクを高めてしまうため、地元での持続可能な食料生産が求められるようになったのです。

 

また、急速な都市開発により、ソウルでは周辺地域よりも気温が高くなるヒートアイランド現象が発生しています。温室効果ガスの増加による地球温暖化の影響も相まって、ソウルは年々気温が上昇しており、猛暑日に備えた気候危機の対応策が求められています。

 

さらにソウルは大気汚染が深刻な都市のひとつです。自動車の排気ガスや建設現場、火力発電所から発生する二酸化炭素が主な原因といわれています。

 

加えて、ソウル市内での高齢化や社会的孤立も問題となっています。こうしたさまざまな課題への対応と持続可能な都市開発への対策として、Urban Farmingが行なわれるようになりました。

 

(参考:ソウル市の都市農業の推進現況と今後の課題

ソウル市、気候危機対応の猛暑対策、都心温度下げ弱者支援)

ソウルで100万人の都市農家を育成すると政府が発表! 

ソウル政府は都市農業の普及を支援しており、2012年を「都市農業元年」と定め、市民が主体的にUrban Farmingに参加できるよう、教育プログラムや都市農業公園の設立を支援してきました。

 

2020年には「100万人の都市農家を育成し、ソウルを健康的な街にする」と発表し、政策的な枠組みや資金援助を強化しています。具体的には、約2億1,600万ドル相当を研修プログラムや資金の確保に充てるとしています。

 

Urban Farmingを通じて野菜や果物を栽培するだけでなく、生態系や共同体の回復に貢献できるとし、環境に優しい持続可能な食料都市をつくることが目的です。またUrban Farmingを通じたコミュニティー育成の支援にも、力を入れていくとしています。

 

(参考: 生態系と共同体の回復に向けた 都市農業のビジョン)

韓国・ソウルにおけるUrban Farmingの事例をチェック!

政策支援もあり、ソウルでは環境保全や食料自給率の向上、コミュニティーの活性化を目的にUrban Farmingが広がっています。ここでは韓国・ソウルにおけるUrban Farmingの事例をチェックしていきましょう。

 

<学校や公園、ビル屋上などに都市型農業スポット拡大計画>

 

ソウルの都市農業計画によって、市内の空き地やビルの屋上、学校や公園のスペースを活用して Urban Farmingを推進しています。ソウルの中心エリアに住む都市住民が、徒歩10分以内で訪問できる小規模な農園を増やす取り組みです。

 

また、一部の農園では専門的な人材育成ができる仕組みも導入しています。この計画によって、都市住民が気軽に Urban Farmingに参加し、野菜や果物を栽培できる場が広がっています。

 

(参考: 韓国ソウル市による都市型農業計画、2018年までに約1800カ所の農場整備へ)

 

<地下鉄の駅構内でIT技術を用いて野菜を栽培>

 

ソウルの地下鉄でIT技術を用いて野菜を栽培するUrban Farmingがあります。ガラスで仕切られた空間の中で、LEDの光で栽培されているのが特徴。

 

海外から取り寄せた高級品種のバターヘッドレタスやカイピラなどを育てています。温度や湿度の自動調節、自動水まきなどのスマート農業のシステムを導入し、安定した収量を実現しています。

 

また、ファームカフェも併設しており、収穫した野菜を使ったジュースやサラダを販売しているのもポイントです。

 

地下鉄のUrban Farmingは、上道駅を含むソウル市内の地下鉄5駅でプロジェクトが展開されています。

 

(参考:地下鉄の駅で高級野菜を栽培…ソウル市「都市型スマートファーム」推進)

 

<アパートの地下駐車場で実施しているキノコ栽培>

 

ソウルにあるアパート団地の地下駐車場には、キノコを栽培するUrban Farmingがあります。LED照明を浴びて垂直農法で育てられているキノコは、住民たちで栽培管理しています。

 

また、収穫したキノコは共有して販売し、その収益は地元の慈悲団体や福祉センターに還元するという、地域のつながりを大切にしたUrban Farmingです。

 

(参考:ソウルの都市農業がコミュニティを結びつける)

 

<地産地消でクッキング講座も行なう屋上農園>

 

ソウルの広興倉駅近くのオフィスビルの屋上では、屋上農園の運営に加え、都市住民を対象としたクッキング講座を行なっています。Urban Farmingで育てた野菜やハーブを使い、サラダやピザなどの作り方を学ぶというものです。

 

地産地消型のクッキング講座は、子どもの食育にもなると人気を集めています。

韓国・ソウルのUrban Farmingは都市住民の生活の一部に

急速な都市化に伴う農地の減少や食料自給率の低下、排気ガスや二酸化炭素の排出量増加による大気汚染など、ソウルが抱える問題を解決へと導いてくれるのがUrban Farmingです。

 

政府の推進や支援もあり、今後さらにソウルのUrban Farmingは盛んになっていくことでしょう。Urban Farmingが都市住民の生活の一部になる日も近いかもしれません。

 

合わせて読みたい:SDGsの達成に地産地消が重要な理由|メリットもチェック!

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