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脱炭素化へ前進!グリーンスローモビリティーとは?現状や課題も解説
Thursday, 27 February 2025
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特に運輸部門からのCO2排出量削減は重要視されており、個人の移動手段としても低炭素な交通機関や、電動モビリティーへの移行が求められています。そこで注目されているのが、グリーンスローモビリティーです。
今回はグリーンスローモビリティーの特徴や政府が推進している理由、導入の状況や課題を解説します。
グリーンスローモビリティーとは?
グリーンスローモビリティーとは、時速20km未満で公道を走行できる、4人以上乗車可能な電動自動車や移動サービスを指します。
車両タイプはサイズに応じて「軽自動車・小型自動車・普通自動車」の3種類に分かれていて4人乗りのゴルフカートタイプから、22人乗りの電動低速バスまであります。
いずれも運転の際には普通自動車免許が必要で、フル充電での航続距離は30km以上です。充電時間はゴルフカートタイプで約5時間、電動低速バスタイプで約9時間とされています。
また、運行事業を行う場合、定員10人以下でタクシー事業の許可が必要になり、定員11人乗り以上は大型自動車免許、あるいは中型自動車免許が必要です。
車両によっては、タクシー・バス事業の活用ができないケースもあるため、事業を検討する場合は地方運輸局などへ事前に確認しておくと良いでしょう。
(参考:https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/green_slow_mobility/index.html
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グリーンスローモビリティーの特徴
グリーンスローモビリティーの5つの特徴は「Green・Slow・Safety・Small・Open」という5つの単語を用いて表現されています。
Green…CO2排出量の少ない環境に優しい移動手段。
再生可能エネルギーを使用することで脱炭素を実現できる。
Slow…時速20km未満で景色も楽しめる。観光に適している。
Safety…速度制限があるため、重大事故が抑制できる。高齢者でも安心して運転できる。 シートベルトやチャイルドシートの装着が免除。段差がないので乗り降りしやす い。
Small…車両がコンパクトで狭い道でも走行できる。
Open…窓ガラスがなく開放感がある。
グリーンスローモビリティーは、環境負荷の軽減や高齢者における新たな移動手段として、また観光地での活用やガソリンスタンドが少ない地域での運行など、高齢化対策や地域問題の解決策としても期待されています。
(参考:https://www.evfjp.org/seminer/seminer_documents/20190822_GSM.pdf
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/content/001731484.pdf)
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政府機関がグリーンスローモビリティーの導入を推進する理由
日本では環境省や国土交通省がグリーンスローモビリティーの導入を推進しています。その理由は、グリーンスローモビリティーの導入・普及によって脱炭素社会の実現に加え、社会や経済の発展につながるからです。
地域交通の大幅なCO2排出量削減と、自宅からスーパーまでといったラストワンマイルの確保、観光振興や中心市街地などの活性化を同時に達成に導けるとして、政府機関はグリーンスローモビリティーの導入を推進しています。
(参考:https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/green_slow_mobility/index.html)
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グリーンスローモビリティーの現状と取り組み事例
国土交通省では、グリーンスローモビリティーの車両導入支援事業も行っており、多くの地域で導入や実証実験が行われています。ここでは、グリーンスローモビリティーの導入事例をいくつか見ていきましょう。
<杉並区>
東京都杉並区では、2024年11月より荻窪駅南側地域でグリーンスローモビリティーの運行が本格的に開始しています。
「荻窪駅西口→大田黒公園→荻外荘公園→桃井第二小学校」の4つの停留所を周る運行ルートで、1周約20分。これまで徒歩や自転車でしか通れなかった細い道も走行できるとして、地域内の手軽な移動手段として今後認知度も拡大していくことでしょう。
(参考:https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/machi/green_slow/1097170.html)
<豊島区>
東京都豊島区では、定員22人の電動バスタイプのグリーンスローモビリティーが運行しています。池袋駅東口を起点としたAルートと、池袋西口から東口にかけて周遊するBルートに分かれており、それぞれ約20分間隔で運行しています。また、車両後部には車椅子用の昇降機が装備され、環境だけでなく人にも優しい車両です。
(参考:https://www.city.toshima.lg.jp/toshimanow/new/ikebus.html)
<大阪府河内長野市>
大阪府河内長野市の南台花台地域では、開発団地におけるIoT技術を活用したQOL(生活の質)向上モデル事業の一環としてグリーンスローモビリティーを導入しました。7人乗りのゴルフカートタイプの自動運転車両で、高齢者の外出支援を行っています。
電磁誘導線のあるルート場にRFIDタグが設置されており、車両が通過することでコース情報を受信し、加減速や自動停止をするという仕組みです。緊急時や電磁誘導線のないコースは、住民が運転手を務めています。
(参考:https://www.yamaha-motor.co.jp/gsm/topics/kawachinagano.html)
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グリーンスローモビリティーの課題
グリーンスローモビリティーの導入が進む一方で、課題も明確になっています。以下はグリーンスローモビリティーの普及や運用における主な課題です。
・航続距離が短い
・低速で移動にかかる時間が長い
・一般車に比べて安全性が低い
・輸送効率が低いため、運行事業として採算性が低い
・雨風や防寒対策
・セキュリティーに配慮した車庫の確保
上記の課題解決に向けて多くの地域で改善策を用いた導入や実証実験が行われ、結果を基に協議や検討を繰り返しています。
(参考:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/content/001405966.pdf)
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脱炭素に重要なグリーンスローモビリティーは環境・経済・社会に貢献!
グリーンスローモビリティーは、走行時のCO2排出量を大幅に削減でき、狭い路地も通行できる高齢者の移動手段やラストワンマイルの確保に適した乗り物です。
観光客の周遊としても活用できる新たなモビリティーとして、今後の動向に注目してみてはいかがでしょうか。