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家電メーカーのサーキュラーエコノミー|導入の背景と取り組み事例

Thursday, 18 January 2024

気候変動や資源の枯渇、環境汚染などの問題に対応するための新しい経済システムとして重要視されているサーキュラーエコノミー。さまざまな企業でサーキュラーエコノミーの導入が進められていますが、家電メーカーもそのひとつです。

家電メーカーによるサーキュラーエコノミーの取り組みはどのような事例があるのでしょうか?今回は、家電メーカーのサーキュラーエコノミーが進められる背景や取り組み事例を解説します。

家電メーカーのサーキュラーエコノミー導入が広がった背景

家電メーカーは高度なリサイクル技術や仕組みの開発によって、サーキュラー化が促進されています。その背景にあるのが、家電リサイクル法の制定です。

家電リサイクル法は2001年4月に施行された法律で、家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)を対象に、小売業者・製造者・消費者それぞれに以下の要件が義務づけられています。

・小売業者…引き取りの義務
・製造者…リサイクルの義務
・消費者…適切な処分と料金支払いの義務

上記のように製造者にあたる家電メーカーはリサイクルが義務づけられており、使用済み家電から資源を回収し、再利用することが求められています。従来は、使用済み家電からのリサイクル処理は困難とされていました。

現在では技術の進歩により、鉄・銅・アルミなどの金属類をはじめ、プラスチック類の再利用を実現している家電メーカーもあります。

家電リサイクル法が施行される以前は、一般家庭から出る不用な家電製品は有用な資源が含まれているにも関わらず、金属など一部の資源のみを回収し、そのまま埋め立てられていることが多い傾向でした。
しかし、廃棄物の埋め立て場所が減少していることや無許可の業者が家電を引き取ることによる不法投棄、不適正処理、不適切な管理が原因で、有害物質の放出や火災が問題になったのです。その解決策として、家電リサイクル法が定められました。

使用済みの家電をリサイクルし、資源を循環させるサーキュラーエコノミーの導入は、このような廃棄家電による環境汚染を防ぐことにもつながる重要な取り組みです。

(参照:家電4品目の「正しい処分」早わかり!|家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)|経済産業省)
(参照:平成29年度における家電リサイクル実績について)

サーキュラーエコノミーを導入する家電メーカーの事例

サーキュラーエコノミーを導入する家電メーカーは、どのような取り組みを行っているのでしょうか。ここでは取り組み事例の一部をご紹介します。

空調に使用する冷媒を回収し再利用

 

エアコンは空気の熱を運ぶ役割を持つ「冷媒」と呼ばれるガスが、室外機と室内機の間をぐるぐると回っています。この冷媒を回収し、再利用するという取り組みです。

冷媒に使用する代替フロンは、CO2(二酸化炭素)よりも温暖化への影響が大きいとされています。冷媒はエアコンの廃棄時に外気中に漏れて、温暖化を促進してしまう恐れがあるのです。この冷媒の漏れを防ぐために、使用済みのエアコンの修理や廃棄作業を行う前に、冷媒を回収・破壊処理し、再生業者に引き渡すという取り組みを実施しています。

また、エアコンの点検時にも冷媒が漏れてしまう場合があるため、点検時の冷媒漏れ防止を徹底しているのが特徴です。

(参照:冷媒と地球温暖化)

洗濯機の水槽を再び洗濯機水槽に

 

使用済みの家電から回収したプラスチックを新品の製品の材料に循環利用する取り組みを行っています。

例えば洗濯機の水槽を再び、新製品の洗濯機の水槽に生まれ変わらせるのも事例のひとつです。令和元年にスタートし、令和4年にはリサイクル量累計2万トンを達成したといわれています。

回収した使用済み洗濯機から手作業で洗濯槽を取り出して洗浄し、粉砕、薬剤洗浄したあと、ペレットにして新品の素材と混ぜて洗濯槽の材料にします。

リサイクルされた洗濯機水槽は令和4年で4巡目です。プラスチックの廃棄量削減や資源消費の抑制に貢献しています。

(参照:家電が競うサーキュラー技術)

樹脂循環で使用済みの家電から新たな家電を作り出す

 

家電製品に使用されるPP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、ABSといった樹脂は、鉄や銅などの金属に比べて品質を維持したまま再生するのが難しいとされてきました。

しかし、高純度・高効率での選別や高い技術によって、樹脂の特性を維持したままの循環利用に成功しています。

使用済みの家電製品からプラスチックを取り出し、樹脂循環工場で洗浄したあと強度や寿命を回復させた樹脂は、新たな家電製品の部品として使用します。

エアコンのフィルター枠や冷蔵庫のカバーダクトなどに生まれ変わるなど、資源の効率利用で環境負荷の軽減に貢献している取り組みです。

(参照:「商品から商品へ」資源循環の取り組み)

サーキュラーエコノミーを取り入れた家電製品に注目してみよう 

家電メーカーは、リサイクル技術を高めてサーキュラーエコノミーの取り組みを広げています。使用済みの家電製品から金属類だけでなく、プラスチックなどの樹脂も回収し、再利用して新しい製品の材料に使用している点がポイントです。

これから家電を選ぶときには、価格や機能だけでなく、サーキュラーエコノミーを導入して作られたものかどうかという視点で選ぶのも良いでしょう。

また、使用済みの家電はリサイクルができるよう正しく回収場所に出すことも大切です。暮らしを便利にしてくれる家電の環境負荷を極力減らすよう製造者と消費者が協力し合い、地球環境を守っていきましょう。

あわせて読みたい: サステナブルな家電とは?特徴や種類、人気があるものをチェック!

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