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ホテルにおけるサーキュラーエコノミーとは?海外と日本の取り組み事例

Thursday, 16 May 2024

世界全体でサーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行が求められる昨今、ホテル業界においてもサーキュラーエコノミーに向けた取り組みが広がっています。ホテルにおけるサーキュラーエコノミーでは、どんなことが求められるのでしょうか?

今回はホテルにおけるサーキュラーエコノミーのポイントや、海外と日本のホテルによる取り組み事例をそれぞれわかりやすく解説します!

ホテルにおけるサーキュラーエコノミーのポイント

2-ホテルにおけるサーキュラーエコノミーとは?海外と日本の取り組み事例
サーキュラーエコノミーとは循環型経済を意味します。循環型経済とは、物を循環させ廃棄物を出さない経済システムのことです。

従来の大量生産・大量消費・大量廃棄のリニアエコノミーの経済システムを終わらせ、廃棄物を出さないサーキュラーエコノミーの経済システムに切り替えることで、地球が抱える気候変動や資源の枯渇問題などの解決策になるとして移行が求められています。

ホテルにおけるサーキュラーエコノミーでは、廃棄物を出さない仕組みを構築することが求められます。そのためには、原材料と製品を使い続けられるように、循環可能な自然由来の資源が必要です。

また、あらかじめ廃棄物や環境汚染を発生させないような仕組みや設計が重要になります。

(参照:ホテルのサーキュラーエコノミーを考える(1)基礎編)

サーキュラーエコノミーに向けた海外のホテルによる取り組み事例

3-ホテルにおけるサーキュラーエコノミーとは?海外と日本の取り組み事例
ここからは実際にホテルで導入されている、サーキュラーエコノミーに向けた取り組み事例をご紹介します。まずは、海外のホテルによる事例から見ていきましょう。

川の水を利用した蓄熱・蓄電システムを採用

 

オランダのアムステルダムに位置するホテルでは、川の水を利用した蓄熱・蓄電システムを採用しています。それによってエアコンが無いにも関わらず、館内はいつでも快適な温度に保たれているのが驚くべき点です。

ジャングルのような緑あふれる室内庭園が、温度を安定させているのもポイント。屋根と壁面にある太陽パネルからエネルギーが生み出されており、脱炭素のエネルギー循環を実現しています。

(参照:一度は泊まりたい。エコポリシーで選ぶヨーロッパのホテル【欧州通信#16)

再利用可能な完全木造のホテル

 

ドイツには、地元で伐採した持続可能な木材を建材とした、完全木造のホテルが存在します。建築の際に、接着剤や釘などの金属類、有害物質などを一切使用せず、小さな木の棒のみで接合していきます。そのため、解体後もリユースやリサイクルできるのが特徴です。

(参照:一度は泊まりたい。エコポリシーで選ぶヨーロッパのホテル【欧州通信#16)

海洋から回収したごみを客室インテリアにアップサイクル

 

オーストリアにはSDGsをテーマにしたホテルがあります。客室ごとに17の目標のうちのいずれかをコンセプトにしているのが特徴です。

例えばSDGs14番目「海の豊かさを守ろう」をテーマにした客室では、海洋から回収したごみをインテリアにアップサイクルしています。捨てられていた資源を上手に再利用し、海洋汚染を視覚的に表現しているのがポイントです。

(参照:一度は泊まりたい。エコポリシーで選ぶヨーロッパのホテル【欧州通信#16)
(参照:サステナブル・ホスピタリティ:ホテル業界の世界最先端のサステナブルな取り組み7選)

サーキュラーエコノミーに向けた日本のホテルによる取り組み事例

4-ホテルにおけるサーキュラーエコノミーとは?海外と日本の取り組み事例

次に日本のホテルにおける、サーキュラーエコノミーに向けた取り組み事例の一部を見ていきましょう。

生ごみを堆肥化させてフードロス削減

ホテル内のレストランから出る生ごみを堆肥化させてフードロスを削減する取り組み事例があります。生ごみなどの有機性廃棄物を効率的に堆肥化させる「コンポストプラント」を導入し、毎日廃棄される約5トンの生ごみを有機肥料化しています。

契約農家がその堆肥を買取して野菜を育て、再びレストランや従業員食堂などで提供されるという仕組みです。また、ホテル内の日本庭園を整備する肥料としても活用されています。

捨てられるはずの食器をカラーリングで再生

  

不用となり長期間眠っていた食器にカラーリングを施し、再生させてホテル内のレストランで使用するといった事例があります。

食器は割れて使えなくなる前に、摩耗して絵柄が薄れてしまうのが理由で、廃棄されてしまうのが実情です。

そんな捨てられるはずの食器にカラーリングを施すことで、新たなデザインの美しい食器に生まれ変わります。廃棄物を削減し、食器の可能性を伸ばしてくれる取り組みです。

紙パックから再生トイレットペーパーへの資源循環を実現

 

ホテル館内や客室で提供される紙パックウォーターの廃容器を、ホテルで使われるトイレットペーパーに再生する取り組み事例があります。

330mlの紙パックウォーター×5本分がトイレットペーパー1ロール分にリサイクルされ、資源の循環がお客様にも可視化できる仕組みです。

紙から紙へのリサイクルを見える化することによって、サーキュラーエコノミーに対する意識を高めることにもつながっています。

(参照:紙パックウォーターでリサイクルの〝見える化〟推進 ハバリーズ セルリアンタワー東急ホテルが全室に採用)

ホテルの厨房から出る排水を植物用の水などに循環利用

 

ホテルの厨房から1日約1,000リットル出る排水を、きれいな水へと再生させ、植物の水やりやトイレの洗浄水などに循環利用している事例があります。

「中水造水プラント」で異物除去や有機物の分解洗浄、塩素殺菌などを行い、再利用可能なきれいな水へと生まれ変わらせています。

バイオマスプラスチックを原料としたカトラリーを使用

  

使い捨てのカトラリーを廃止し、自然由来のバイオマスプラスチックを原料としたカトラリーを導入するホテルがあります。

使い捨てとは違い、くり返し使えるのが特徴。また、バイオマスプラスチックは自然由来の原料から作られているため、製造時や廃棄時の環境負荷を軽減できます。生分解可能なため、廃棄後は土に還るのも環境に優しい点です。

ホテルはサーキュラーエコノミーの視点で選んでみるのもあり!

5-ホテルにおけるサーキュラーエコノミーとは?海外と日本の取り組み事例
ホテルにおけるサーキュラーエコノミーでは、廃棄物を出さない仕組みを構築し、資源の循環利用を確立し、環境汚染を軽減していくことが求められています。海外だけでなく日本においても資源の循環利用を実現するホテルは増えつつあります。

ぜひ、これからホテルを選ぶ際には、サーキュラーエコノミーの視点も取り入れてみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたい: 江戸時代はサーキュラーエコノミーが確立していた!事例を解説

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