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サーキュラーエコノミーを実現するスマホ|誕生背景にある問題とは
Wednesday, 20 March 2024
しかし、スマホには原材料の調達から生産、廃棄に至るまで、さまざまな問題が存在します。その解決策として注目されているのが、サーキュラーエコノミーを実現するスマホです。
今回は、サーキュラーエコノミーを実現するスマホの特徴や、スマホに関するさまざまな問題を解説します!
サーキュラーエコノミーを実現するスマホの特徴
昨今よく耳にするサーキュラーエコノミーとは、本来廃棄される予定の資源を循環利用し、廃棄物を出さない経済システムを意味します。
サーキュラーエコノミーを実現するスマホとは、資源の消費や廃棄物を削減し、価値の高い状態で長く使えるスマートフォンのことです。2013年にオランダで「エシカルなスマホ」として発売されて以来、改良を重ね、近年さらに機能がパワーアップし話題を呼んでいます。
ここでは、サーキュラーエコノミーを実現するスマホの具体的な特徴をチェックしていきましょう。
<誰もが簡単にパーツの交換や修理ができる>
サーキュラーエコノミーを重視して作られているスマホなだけあり、誰もが簡単にパーツの交換や修理ができる仕組みになっています。モジュール式で設計されていて、カメラ、ディスプレイ、バッテリーなど、壊れたパーツのみ修理や交換できるのが特徴です。
ただし、スマホの頭脳にあたるCPU部分は、一般家庭のドライバーで取り外し不可のため、契約した携帯会社に相談する必要があります。このパーツごとの交換や修理ができる仕組みによって本体を長期的に使える点は、従来のスマホにはない特徴です。
<人権や環境に配慮された素材が使われている>
スマホの背面にはリサイクルされたプラスチック素材が採用されていて、内部の原料にはフェアトレード認証の金が使用されています。フェアトレード認証とは、発展途上国の原料や製品が公平に取引されていることを証明する制度です。
また、それ以外にも紛争の資金源にならないスズやタングステン、リサイクル素材の銅などを使用しています。このように人権や環境に配慮された素材で作られているのが特徴です。
(参照:
https://brightinnovation.jp/carbon/1163/)
<価格が少々高め>
環境や人権に配慮されて作られているため、通常のスマホよりも価格設定は少々高めになっています。しかし、誰もが簡単にパーツの交換や修理ができるなど、長く使ってもらうための仕組みなどがデザインされているため、費用対効果は高いといえるでしょう。
多少価格が高めでも、すぐに買い替えなければならない利益を優先した安価なスマホよりも良いことに違いありません。
スマホにまつわる深刻な問題
サーキュラーエコノミーを取り入れたスマホが登場した背景には、電子ごみの問題や原料の採掘による環境汚染問題、紛争の資金源をめぐる児童強制労働問題など、さまざまな問題が存在します。具体的に何が起きているのか、詳しく見ていきましょう。
<スマホを含む電子ごみの廃棄問題>
スマホを含む電子ごみの廃棄量は、世界で増え続けています。国連の調査によると、電子ごみの廃棄量はデジタル化に伴ってさらに増え続け、2030年には世界全体で7,400万トンにも上ると予測されています。
スマホやPCなどの電子ごみには、ニッケルやリチウムなど資源の再利用が可能な金属類が含まれているにも関わらず、その大半は捨てられてしまっているのが現状です。
2019年にリサイクルされた電子ごみは世界全体でわずか17.4%でした。電子ごみには、資源になる金属類だけでなく、鉛や水銀などの有害物質が含まれているケースも多いため、電子ごみ処分場で働く労働者の健康被害や周辺の環境汚染が問題視されています。
電子ごみが増える要因には、従来の大量生産・大量消費の経済システムである「リニアエコノミー」に沿って事業を展開している企業が多く、製品寿命が短くなるように設計しているものがあったり、次々と新しい商品を発売する点が挙げられます。
それによって、消費者が短期間でスマホを買い替えてしまっているのも要因のひとつです。
(参照:https://earthsustainability.jp/economy/9844/)
<レアメタル採掘による環境汚染問題>
スマホの製造に欠かせない鉱物のレアメタルを精錬するには、大量の水が必要です。精錬後の水には多くの酸や重金属の不純物が含まれており、水質汚染が深刻化しているといいます。
また、採掘過程で発生する化学物質が適切に処理されず土壌にも汚染が広がり、農作物の収穫量減少や家畜に奇形が多発するなどの被害が報告されています。
(参照:https://shizen-hatch.net/2021/03/04/rare_earth_elements/)
<紛争の資金源をめぐる児童強制労働の問題>
アフガニスタン、コロンビア、ジンバブエ、コンゴ民主共和国などでは「金、スズ、タンタル、タングステン」といった鉱物が紛争の資金源になる可能性が高く、社会問題になっています。
「紛争鉱物」とも呼ばれていて、主に小規模で危険な採掘現場で児童強制労働によって採掘されているのです。
紛争鉱物の取引は、利益が武装集団の資金源になる場合も多く、児童強制労働を助長させてしまうでしょう。
スマホの買い替えは慎重に!修理できるものは修理して使おう!
サーキュラーエコノミーを取り入れたスマホは、紛争の資金源にならないリサイクル素材の銅などを使用しています。また、パーツの交換や修理が自分でできるため、長く使うことで電子ごみを削減できます。
スマホの生産背景にはさまざまな問題があることを認識し、修理できるものは修理して使うようにしましょう。
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