気候変動による気温の上昇、干ばつや集中豪雨などの異常気象によって、野菜の生育不良や品質低下、収穫量の減少といった影響が見られています。
野菜作りの基本は、それぞれの野菜に合った生育環境を整えることですが、気候変動の影響でそれが難しくなっているのです。
今回は気候変動によって野菜はどんな影響を受けるのか、また農作物を守るための対策について解説します!
最近では感染症やウクライナ侵攻、円安などの影響で物価が高騰しており、食品の値上げを実感している人も多いのではないでしょうか。
野菜の場合、旬の時期には比較的安く手に入るイメージですが、玉ねぎなど特定の野菜が急激に値上がりするといった現象が見られています。
野菜が急激に高騰する原因のひとつとして考えられているのが、年々深刻化する気候変動です。そもそも野菜は収穫量によって価格が変動するため、生育状況が良く収穫量が多ければ野菜は値下がりする傾向にあります。
反対に、干ばつや豪雨、台風などによって生育状況が悪くなり、収穫量が低下すれば旬の野菜であっても値上がりする場合があるのです。
近年野菜の価格変動が大きい理由には、気候変動がもたらす気象災害により、野菜の生育状況が不安定という背景があります。
(参照:野菜の生育状況及び価格見通し(令和5年2月)について)
では気候変動によって野菜はどんな影響を受けるのか、詳しく見ていきましょう。
農作物を守るためには、気候変動対策をして異常気象を緩和させるよう努めることが不可欠ですが、緩和の効果が現れるには時間がかかるといわれています。そのため、気候変動の影響を最小限に抑えるための適応策が必要です。
そこで農林水産省は2015年に気候変動から農作物を守るための「気候変動適応計画」を策定しました。計画書には以下のような対策が挙げられています。
・露地野菜では高温条件に適応する品種の開発・普及
・適正な品種選択や栽培時期の調整、病害虫防除などの推進
・干ばつ対策として土を深く耕し、有機物を投入するなどの土壌の保水力向上
・災害に強くて低コストな耐候性ハウスの導入、パイプハウスの補強、補助電源の導入
・高温対策を目的とした適切な換気や遮光、循環扇やヒートポンプなどの導入
以上のような対策を受け、高温や集中豪雨、台風に耐えられる品種の開発が進められています。また、気候変動の影響を受けることなく栽培できる植物工場による水耕栽培も広がっています。
グリーングロワーズのレタスもそのひとつです。植物工場での栽培は気候による生育不良のリスクもなく、1年中品質の安定した野菜を栽培できるメリットがあります。
(参照:農林水産省気候変動適応計画)
農業を営む人々は、気候変動の影響を受けつつも適応策を取り入れながら、必死で農作物の栽培を行っています。
私たち一人ひとりにできることは、気候変動を抑えるために地球温暖化対策に取り組むことです。大きな対策でなくても、日々の生活の中でできることはたくさんあります。
例えば節電をしたり、自家用車移動を控えたり、レジ袋を購入せずにマイバッグを使用したりするのも、温暖化の原因になる二酸化炭素の排出を削減することにつながります。
これまでどおり、いろいろな種類のおいしい野菜を食べ続けられる未来を目指していきましょう。
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