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中央・南アメリカの現状|気候変動によって起きている変化とは?

Thursday, 04 January 2024

メキシコやブラジルを含む中央・南アメリカでは、気候変動によって自然環境にさまざまな変化が起きています。ブラジルのアマゾンで森林破壊が進んでいるほか、火山や海、湖などでも変化が生じているというのです。

そこで今回は中央・南アメリカで気候変動がもたらしている変化や、それによって受ける影響などについてわかりやすく解説します!

気候変動の現状 

気候変動対策が叫ばれる中、温暖化の現状はどうなっているのでしょうか。2021年の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第6次報告書では、地球の平均気温は産業革命前(1850~1900年)よりも、0.99℃上昇したと報告されています。

また、2011~2020年の10年間の平均気温は、1.09℃上昇し、観測史上最も気温が高いことが明らかになっています。1℃の上昇と聞いてそれほど変わらないと思う人は多いかもしれません。

しかし、1℃前後の気温上昇に伴って世界では異常気象や熱波、干ばつや洪水、山火事といった災害が引き起こされ、これまでにない自然環境の変化が起きているのです。

気候変動によって中央・南アメリカで起きている変化

では、気候変動によって具体的にどんな変化が起きているのでしょうか。ここからは被害が大きいとされる中央・南アメリカの現状に焦点を当てて解説していきます。

熱帯雨林の破壊


南アメリカには世界最大の熱帯雨林であるアマゾンがあります。アマゾンでは、畜産用の飼料である大豆栽培地を作る目的で、人の手によって森林が破壊されてきました。

そこへさらに追い打ちをかけるように、気候変動によってエルニーニョ現象が起こり、森林火災による熱帯雨林の破壊が加速しているのです。

今後、気候変動によって降水量が減少し、乾燥が進むことでさらに森林火災は起こりやすくなると予測されています。

熱帯雨林は本来、二酸化炭素(CO2)を吸収する役割があります。しかし森林火災が起こることで、熱帯雨林に蓄えられていた炭素がCO2として大気中に排出され、温暖化を加速させてしまうのです。

また、森林火災で失った熱帯雨林は回復が極めて困難であるため、CO2の吸収量は大幅に下がると考えられています。さらに熱帯雨林に住む生物の生息地や命にも影響します。

森林火災による熱帯雨林の減少は、世界中に影響するといっても過言ではないでしょう。

(参照:熱帯林が失われるとどんな影響が?)

水温・気温の上昇と激しい嵐


中央アメリカのベリーズ海岸に位置するプラセンシアという町では、以前に比べて水温と気温の上昇が見られるといわれています。ベリーズの気象学研究所の気象学者によると、過去20年間気温が上昇傾向にあり、1990年代が最も気温が高い10年間であったと報告しています。

また、激しい嵐や洪水の日が増え、マングローブの林が枯れてしまうといった事態も起きている状況です。マングローブは二酸化炭素を取り込み、炭素として蓄える役割があるため、マングローブの破壊は温暖化による被害を大きくするとして懸念されています。

短期間に激しい嵐がくるなどの降雨パターンは、気候変動による影響であると考えられています。

(参照:目撃者の証言:海岸の景色が変わってゆく)

農作物への影響


メキシコのチワワ州では、農作物の収穫量が減少するといった現象が見られています。気候変動によって天候が変化し、以前のように種まきをしても十分な収穫が得られないのです。

その原因として考えられているのは、雪や雨の降り方の変化です。雪は作物の病気を鎮めたり、雑草を枯らしたりする役目があるほか、害虫も退治します。

しかし、雪の降り方が変わってしまったため、害虫や新しい病気が発生し、機能しなくなった農地もあるといいます。また、農作物が育たないだけでなく、干上がってしまった場所に住む動物も水や牧草が得られず死んでしまっている状況です。

(参照:目撃者の証言:天気が変わり、減り続ける農作物の収穫)

降水量の増加による湖の拡大


降水量が減少し、干上がってしまう場所がある一方で、降水量の増加による被害に悩まされる地域もあります。

アルゼンチンのサンタフェ州では、過去7年間で降水量が増加し、ラ・ピカサ潟湖の面積が約3倍に拡大したと報告されています。それによって多くの家屋や農場、作物などが押し流されてしまったといいます。

この地域に住む人々の多くは、放牧や農業ができなくなったため、湖での漁業に職業を変えなければならないのが現状です。

排水対策を講じたことと雨量がわずかに減少したことで、湖はかなり小さくなったといわれていますが、浸水した農地を元の状態に戻すには、長い年月がかかると予想されています。

降水量の増加は人間の活動による気候変動であると、研究者たちも報告しています。

(参照:目撃者の証言:町が湖に呑み込まれてゆく)

気候変動によって起きている現象は地球全体に関わる問題 

現在も地球の平均気温は上昇傾向にあります。今回は中央・南アメリカで起きている変化について見てきましたが、熱帯雨林の減少は地球全体のCO2吸収量にも大きく関わり、温暖化に影響する問題です。

また、生物多様性が失われることで自然界のバランスが崩れ、人間の生活にも影響してくる可能性があるでしょう。気候変動による現象は、中央・南アメリカに限らず地球全体に関わる問題です。

日本においても集中豪雨や猛暑日の増加など、近年は気候変動による影響が出てきました。ぜひ、世界の現状を自分ごととして捉え、安心して暮らせる未来のために気候変動対策で何ができるかを一緒に考えていきましょう。

あわせて読みたい: 気候変動による砂漠化とは?原因や影響、対策を見てみよう

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