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BLOG -Circular Economy and Environment

気候変動に関わるパーム油の問題|解決策と消費者ができること

Thursday, 23 November 2023

パーム油は植物油の一種です。リーズナブルな価格もあり、スーパーやコンビニに並ぶ商品の多くにパーム油が使われているといいます。

今回はパーム油とは何か、気候変動に関わる理由や環境・生物・人への影響に加え、消費の現状や解決策も解説します!

(※参考:パーム油の問題とは?私たちの暮らしと熱帯林の破壊をつなぐもの)

パーム油とは?

パーム油はアブラヤシの果実から採れる植物油で、主にインドネシアマレーシアで生産されています。世界で最も消費されている植物油であり、私たちに身近なポテトチップスやパン、マーガリンなどの加工食品に含まれています。

また、外食チェーンのフライドチキンやポテト、ドーナツなどの揚げ油、化粧品や石けん、洗剤などの日用品にも使われています。しかし、これらの原材料表示に「パーム油」と記されることはあまりありません。

例えば加工食品では「植物油脂・ショートニング・乳化剤」といった名称で表記されているため、パーム油は「見えない油」とも呼ばれています。

パーム油問題がもたらす環境・生物・人への影響

パーム油の原料であるアブラヤシを栽培できるのは、高温多湿な気候と十分な日照時間が確保できる熱帯地域だけです。

世界的に需要が増え続けるパーム油ですが、実は生産過程において環境破壊や生物への影響、人権問題が発生しているのです。そして、生産地域の環境破壊が気候変動を引き起こす要因のひとつになっています。

アブラヤシ農園の拡大による熱帯林破壊

パーム油の生産地であるインドネシアやマレーシアは、生物多様性の豊かな熱帯林が広がる国です。しかしアブラヤシを栽培するためのプランテーション(大規模農園)を作るために、熱帯林が破壊されてきました。

それによって生物たちの生息地が失われているのです。日本の約2倍の面積を持つインドネシアのボルネオ島では、約3分の1の森林がプランテーション開発によって失われています。

泥炭地の森林火災による温室効果ガスの発生

アブラヤシのプランテーションを開発するためには、泥炭地の水を抜き乾燥させる必要があります。水分を多く含む泥炭地にそのままアブラヤシを植えることはできないからです。

泥炭地を乾燥させた後に木々を伐採し、整地するために火入れを行います。この火入れによって森林火災が引き起こされ、泥炭地に含まれていた大量の二酸化炭素が放出される事態になっているのです。

泥炭地は地球全体のわずか3%に過ぎない面積ですが、含まれている炭素の量は世界の森林が蓄えている炭素量を上回るといわれています。

火入れによる森林火災は、温室効果ガスを大量に排出し気候変動を引き起こす要因として、深刻視されています。

住みかや命を奪われる生物たち

熱帯林に生息していた生物たちが住みかとえさを奪われ、最終的には命を落とすケースも少なくありません。

生息地の80%を失い絶滅の危機に瀕しているオランウータンは、プランテーションに出没し新芽を食べるため、農民から害獣として扱われてしまいます。

またプランテーションでアジアゾウなどの大型動物が人間と遭遇し、死なせてしまう事件も起きています。住民はこうした被害を防ぐためにゾウの好きな果物に毒を入れてまくなど、悲劇の連鎖が起きています。

児童労働や強制労働などの人権問題

パーム油にまつわる問題では、自然環境や生物のみならず、人間にも被害が及んでいます。
特に問題視されているのが、アブラヤシ農園で働く人たちに関わる児童労働や強制労働です。

児童労働が禁止されているにも関わらず、生活のため働かざるをえず学校に行けない中学生くらいの子どもも少なくありません。また、マレーシアの農園では、バングラデシュなど他国からやってきた移民が、安い賃金で強制労働させられる事態も起きています。

パーム油問題に対する解決策

さまざまな問題を抱えるパーム油ですが、世界の人口増加に伴い、今後ますます需要が高まると予想されています。パーム油以外にも植物油は存在しますが、それらはパーム油以上に環境負荷が大きいのです。

パーム油は、1ヘクタールあたり3.8トン生産できますが、菜種油の場合は0.59トン、ひまわり油の場合は0.4トンしか生産できません。そのため、パーム油を適切な方法で生産していくことに重点を置き、持続可能なパーム油生産に向けた国際組織「RSPO」が設立されたのです。

問題の解決策として、生産過程における環境や労働者への配慮、企業のコンプライアンスなどの条件を満たして生産されたパーム油に与えられる認証制度を設けました。

また、認証されたパーム油を使用した製品にも認証マークがつけられます。

(※参考:
RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証について
パーム油の問題)

気候変動を抑えるためにも、RSPO認証されているパーム油を選ぼう!

加工食品に使われるパーム油は、一般的に「植物油」などと表記されるため、パーム油が含まれていることに気づかないかもしれません。しかし、通常のパーム油は生産過程でさまざまな環境負荷を及ぼしています。

私たち消費者にできることは、環境や人に配慮して持続可能な方法で生産されたパーム油を使った商品を選ぶことです。

気候変動を抑えるためにも、これからはRSPO認証を受けた食品や日用品を意識して選んでいきましょう。

あわせて読みたい: 気候変動の要因となる牛のゲップから出るメタンガスは減らせる?

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