BLOG -Circular Economy and Environment
気候変動の影響でホッキョクグマが絶滅の危機に?
Tuesday, 01 November 2022
2020年7月、「気候変動対策をとらなければ2100年にはホッキョクグマが絶滅する恐れがある」とする研究がイギリスの科学誌Nature Climate Changeに掲載され、話題になりました。
今回はホッキョクグマが絶滅の危機にある理由や、絶滅を防ぐためにできることを解説します!
(参照:ホッキョクグマ、2100年までに絶滅の恐れ 気候変動で)
ホッキョクグマはなぜ減少しているの?
ホッキョクグマは名前の通り北極圏などに生息しており、25〜30年ある生涯のうちのほとんどを海氷の上で過ごします。食料となるアザラシを狩るのも氷の上です。
しかし、気候変動による地球温暖化の影響で、氷が解けだす時期が年々早くなっているうえ、秋には氷がなかなか固まらず、狩りができる期間が短くなっているのです。そのため獲物を十分に得ることができず、多くのホッキョクグマが栄養不足に陥っています。氷が解ける時期が1週間早まると、ホッキョクグマの体重が10kg減ってしまうという調査結果も出ています。
また氷が解けだす時期が早まると、ホッキョクグマは長い時間海の中を泳がなくてはいけません。こうして過酷な状況で弱り果てたホッキョクグマは、命を落としてしまうのです。
(参照:ホッキョクグマ/札幌市円山動物園)
(参照:ホッキョクグマ残りおよそ26,000頭|WWFジャパン)
2050年に北極の海氷が無くなる可能性も!?
北極海の海氷はこの30年間で面積が約4割減ったといわれており、このまま地球温暖化が進めば2050年には海氷が無くなる可能性もあると予測されています。
海氷が無くなれば、ホッキョクグマは岸まで足を延ばさなければなりません。しかし、こうした場所では食料の確保や子育てが難しく、生き延びるのは厳しいとされています。
海氷の減少で獲物が得られず栄養不足の母グマが多いため、母乳不足で子グマが成長できないといった事態が起きています。海氷の消滅は、ホッキョクグマの絶滅に直結するといっても過言ではありません。
(参照:北極海の海氷消滅で地球温暖化が加速化の危機!? 地球全体に与える影響と新たな航路の可能性[COOL CHOICE])
海氷の消滅を防ぐにはどうすればいい?
ホッキョクグマの大切な暮らしの場である海氷の消滅を防ぐには、脱炭素化が急務です。
脱炭素化とは、気候変動の被害を最小限に留めるために温室効果ガスの原因となる二酸化炭素の排出量を抑え、排出された分を回収することで温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることをいいます。
気候変動を引き起こす大きな要因は、温室効果ガスの排出による地球温暖化です。その中でも二酸化炭素は排出される温室効果ガスの7割以上を占めており、温暖化の最大の原因といえます。
また、排出されている二酸化炭素のうち85%は化石燃料の消費によるものです。二酸化炭素の排出自体を完全に無くすことはできませんが、二酸化炭素の排出を減らし、排出された分を回収する脱炭素社会を目指すことで、気候変動の被害は食い止められるのです。
日本では2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指し、取り組みを進めています。
(参照:「脱炭素ドミノ」で重点対策を全国に伝搬します)
(参照:温室効果ガスの種類)
ホッキョクグマの絶滅を防ぐために私たちができることは?
海氷の消滅、そしてホッキョクグマの絶滅を防ぐために私たちにもできることがあります。それは、燃料や電力の消費を抑え二酸化炭素の排出量を減らすことです。
例えば「電気をつけっぱなしにしない」「冷暖房の設定温度に気をつける」「車での移動を減らして自転車にする」など、暮らしの中でできる取り組みは数多くあります。
その他にも、北極圏の自然保護活動を行う団体に寄付をして支援する方法もあります。北極に行けなくても保護活動を応援することができ、ホッキョクグマの命を守ることにつながるでしょう。
あわせて読みたい: カーボンフットプリントとは?目的や取り組み、課題を解説
気候変動を最小限に抑えてホッキョクグマの命を守ろう
ホッキョクグマは海氷の上でアザラシを狩り生活しているため、気温上昇によって海氷が消滅してしまえば、生きていく場所を失ってしまいます。それは人間でいうなら居場所もない、食べ物もない状況ということです。
ホッキョクグマがこうした状況に置かれているのは、人間の活動によって温室効果ガス排出量が増加したことが大きな要因です。しかし、一人ひとりの小さな取り組みも、地球温暖化の抑制につなげることができます。
気候変動の被害を最小限に抑えられるよう、自分ができることを実践し、ホッキョクグマの命を守っていきましょう。
あわせて読みたい: エコロジカルフットプリントとは?地球への環境負荷を知ろう