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バスの環境対策とは?乗り合いでCO2排出量が削減できる?
Tuesday, 11 April 2023
またバスを利用することで、自家用車を使用するよりも1人あたりのCO2排出量が削減できるというのは事実なのでしょうか?今回はバスの環境対策としての取り組み事例や、交通機関のCO2排出量の比較について解説します!
自家用車移動よりもバスや電車の方がCO2排出量が少ない?
バスや電車といった公共交通機関の利用は、車で移動するよりも1人あたりの二酸化炭素排出量が少ないといわれています。
国土交通省が出した2019年度のデータによると、1人あたり1kmを移動するのに排出されるCO2排出量は、次のような結果となっています。
・自家用車 173g
・航空 113g
・バス 55g
・鉄道 18g
自家用車は1人あたり173g排出するのに対し、バスは55gでCO2の排出量が車に比べて圧倒的に少ないことがわかるでしょう。
自家用車は自分だけで移動する場合1人で乗り、家族で乗る場合でも数人です。しかし、バスの場合は人を多く乗せられるため、数十人で乗り合わせることもあります。バスに乗る人数が多いほど、1人あたりのCO2排出量が減るというわけです。
住んでいる場所や地域によって交通機関の利便性に違いがありますが、自家用車での移動を減らしバスを利用することで、CO2の排出量を削減できるのです。
バス会社による環境への取り組み事例
バスは一度に多くの人を乗せることができるため、1人あたりのCO2排出量が少ないとお伝えしましたが、それだけではありません。
近年では環境保全に取り組むバス会社が増えており、エネルギーを効率的に利用する環境負荷の少ないバスなどが登場しています。ここではバス会社が行っている環境への取り組み事例を見ていきましょう。
燃料電池バスの導入
燃料電池バスは水素と酸素の電気化学反応で発電した電力で、モーターを回転させて走るバスのことです。バスの上部にある高圧タンクに燃料の水素が蓄えてあり、そこから水素が供給され、大気中から取り込んだ酸素によって電気化学反応が起こる仕組みになっています。
燃料電池バスの特徴は、走行時のCO2や環境負荷物質の排出が少ないことです。従来のバスにはない静かで滑らかな走りに加え、停電時には電気を供給する機能も兼ね備えています。人や地球環境に優しい次世代のバスです。
アイドリング・ストップ運動の実施
信号待ちや渋滞時にエンジンを一時停止する「アイドリング・ストップ」の実施も環境への取り組みのひとつです。アイドリング・ストップを行うことで、アイドリング中に発生するCO2などの排出を抑えられます。
また、クラッチペダルを離すことで自動的にエンジンが一時停止する装置を導入しているバスもあります。
さらに、最も負荷のかかる発進時にはモーターの力で動いて燃費を抑える、ハイブリッド駆動のバスも登場しています。
燃料に低硫黄軽油を使用
軽油に含まれる硫黄分を通常の10分の1以下に減らした「低硫黄軽油」を燃料に使用しているバスもあります。低硫黄軽油に切り替えることで、排気ガスに含まれる大気汚染物質の排出量を削減できます。
また、低硫黄軽油の使用によって粒子物質減少装置の設置が可能になり、環境の改善が期待できるのもメリットです。
自家用車からバスへの利用を増やすための運動
自家用車からバスへのシフトを図るために「ちびっこ50円」や「休日家族割引」といった割引運賃制度などのサービスが実施されています。
「ちびっこ50円」は、小学生以下の子どもを対象に夏休みや冬休みなどの長期休暇の間や現金での支払いのみ割引対象になるサービスです。
また「休日家族割引」では定期券の所持者と同伴者に対して、土日祝の乗車が大人100円、子ども50円に割引されます。バスをお得に利用できることからバスの利用を促し、大気汚染や地球温暖化などの環境改善を目的とした運動です。
バスを洗う際の節水
洗車時に使用する水を節約するために、排水処理装置を活用し、ろ過した再生水で洗車する取り組みがあります。再生水での洗車によって、水の使用量を年間約11トン削減できるとしています。
休日のお出かけはマイカーを控えてバスを利用してみよう
バスの利用は環境に優しいことがわかったのではないでしょうか。昨今の環境へのさまざまな取り組みによって、以前よりもさらにバスの環境負荷が軽減されています。
一人でも多くの人が自家用車からバスの移動に変えることで、CO2排出量は大きく抑えられます。ライフスタイルによって自家用車の移動でないと難しいケースもありますが、まずは休日のお出かけだけでもバスの利用を選択してみてはいかがでしょうか。
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