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油の流出が環境に与える影響|家庭でできる水質汚染対策は?
Monday, 10 April 2023
しかし生活の中で家庭から排水される油も問題になっています。
今回は、油の流出が環境に与える影響にはどんなものがあるのか、また家庭でできる水質汚染対策として油の正しい処理方法を解説します!
油は事業系だけでなく家庭からも多く流出している?
実際に家庭から流出している油は、どれくらいなのでしょうか。環境省のデータによると、日本では年間約230万トンの食用油が消費され、そのうち約45万トンが廃棄されています。
廃食油の多くは飲食店や食品製造工場から出ているといいますが、それらの約70%は回収業者によって飼料用にリサイクルされています。
一方、家庭から出る廃食油はリサイクルが進んでおらず、およそ9割がゴミとして廃棄処分されたり、排水と一緒にキッチンから流出してしまっているのが現状です。
油の流出が環境に及ぼす影響
家庭からの廃食油はほとんどリサイクルされていないことがわかりましたが、排水と一緒に油が流出すると環境にどのような影響があるのでしょうか。
水鳥や海の生態系への影響
流出した油が川や海へ流れ込むと、水鳥や魚など、そこに生息する生態系に大きな影響を及ぼします。水鳥が石油まみれになっている映像を見たことがある人は多いかもしれません。
水鳥はくちばしを使って毛繕いをしますが、石油が体内に入り込み、内臓が機能しなくなるといった被害が見られています。また羽毛が空気を含まなくなるため、飛んだり泳いだりできず餓死・溺死するケースもあるのです。
石油に限らず、家庭から流出した油も酸化する際に水中の酸素を消費し、プランクトンや魚など海の生態系に悪影響を及ぼします。
食物連鎖の土台となるプランクトンが死滅すれば、エサが大量に減ってしまいその他の生物の大量死にもつながってしまう恐れがあるといえるでしょう。
(参照:流出石油が環境に及ぼす影響)
(参照:なぜ油は下水道に流してはいけないのですか?)
人間への影響
海に油が流出すると、漁業にも影響が及びます。石油の影響で魚介類が減ってしまうと、漁獲量が減り漁業が大きなダメージを受けます。魚介類が獲れたとしても、石油の臭いが残っていては食用にはなりません。
また水質汚染が進んだ海域では、浮遊油によって船舶や釣り具が油まみれになったり、養殖施設にも被害が及びます。
このように油の流出は海の生態系のみならず、人間にも影響を及ぼしてしまうのです。
(参照:流出石油が環境に及ぼす影響)
家庭でできる水質汚染対策!正しい油の処理法は?
私たちにできることは、家庭からの水質汚染を防ぐために廃食油を正しく処理することです。揚げ物料理に使う植物油は3~4回を目安に再利用できますが、油は古くなったり空気に触れたりすると酸化してしまうため、いずれは捨てなければなりません。
ここからは正しい油の処理法をご紹介します。
牛乳パックなどの紙パックに入れて燃えるごみの日に捨てる
油は可燃ごみとして処分できるため、牛乳パックなどに入れて燃えるごみの日に捨てられます。
牛乳やジュースなどの紙パックの中に古新聞紙や使用済みのキッチンペーパーなどを詰めて、廃食油を入れます。この時必ず、冷えた状態の廃食油を入れるようにしましょう。
また、自然発火を防ぐために水を少し加えるのがポイントです。最後に紙パックを粘着テープなどでしっかり閉じればOKです。
キッチンペーパーや新聞紙に吸わせてポリ袋に入れて捨てる
ポリ袋に使用済みキッチンペーパーや古新聞紙を敷き詰めて、廃食油を吸わせて捨てる方法です。
紙パックで捨てる方法と同様に、冷えた状態の油を入れ、水を少し加えるようにしましょう。また、ポリ袋が破れて油がこぼれないよう袋を二重にしておくと安心です。
油凝固剤で固めて捨てる
専用の凝固剤を入れ、油を固めた状態で捨てる方法です。ポイントは油がまだ熱い状態の時に凝固剤を入れることです。油が冷めてしまうと凝固剤が溶けにくくなるため、熱いうちに入れてかき混ぜて溶かすようにしましょう。
溶けたらそのまま放置し、冷え固まってからビニール袋に入れて燃えるごみの日に捨てます。
自治体の回収などで資源ごみとしてリサイクルに出す
自治体によっては、廃食油を資源ごみとして回収しているところがあります。油をリサイクルすることで、可燃ごみを減らし、資源を循環させるためです。
自治体によって廃食油の出し方や回収場所が違うため、一度ホームページなどで調べて確認してみると良いでしょう。
家庭から出る油は正しく廃棄処分して、水質汚染を防ごう!
油の流出は水鳥や魚といった動物から人間までさまざまな影響を及ぼします。しかし、油を流出させてしまっているのは私たち人間です。
環境に影響を及ぼさないよう、石油の運搬では海に流出しないよう対策をしたり、家庭では油の使用をできるだけ控えたりする工夫も必要といえます。
例えば揚げ物は油を多く使用するため、揚げ焼きにして油の消費量を抑えるなどのちょっとした心掛けも大切です。また油を捨てる際には、今回紹介した処理法を参考に正しく捨ててくださいね。
一人ひとりの行動で水質汚染を防ぎ、地球環境と健康な暮らしを守っていきましょう。
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