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サステナビリティを目指す企業の動物実験廃止に向けた取り組み

Thursday, 14 December 2023

動物実験は医療現場だけでなく、化粧品やシャンプーなどの開発においても行われています。しかし最近では動物愛護やサステナビリティへの意識が高まり、動物実験廃止に向けた取り組みを行う化粧品メーカーが増えています。

実験に使われる動物は一体どのような状況におかれているのでしょうか。今回は動物実験の必要性と問題点に加え、動物実験廃止に向けた企業の取り組み事例を解説します。

動物実験の必要性と問題点

医薬品や医療機器の開発には動物実験が必要不可欠とされています。なぜなら、人体への影響や安全性を調べる必要があるからです。

では、医薬品ではない化粧品に関してはどうでしょうか。化粧品は薬ではありませんが、人間の体に使用するため副反応などの影響がないか調べる必要があります。そのため、これまで化粧品においてもアレルギーや皮膚への影響を調べるために、ネズミやモルモット、ウサギなどを使った動物実験が行われてきました。

開発された化粧品に含まれる化学物質を、動物の皮膚に塗布したり目に入れたりする実験では、残虐な方法で拘束され苦痛を伴うことも少なくありません。ひどい場合には後遺症が残り、健康な体に戻れずそのまま処分されてしまうケースもあります。

こうした動物実験の実態が明るみに出て、動物実験廃止の声が上がるようになりました。そもそも人間と種類の違う生き物で実験しても安全性が担保できないという声も上がるなど、動物実験自体が疑問視されています。

1970年代には欧米で「美しさのために動物を犠牲にしたくない」といった消費者による化粧品の動物実験廃止運動が盛んになり、2013年3月には欧米で化粧品の動物実験が完全禁止になっています。

これを受けて、日本でも少しずつ動物実験廃止に向けた取り組みをする化粧品メーカーが増えている傾向です。

(参照:化粧品でも動物が犠牲に)

日本で認知が広がる「動物愛護管理法」「3Rの原則」とは

日本では法律で動物実験が禁止になっているわけではありません。しかし政府は、令和元年に動物愛護管理法を改正し、その中で実験動物の適正な飼育保管などを推進するためのガイドラインを策定しました。

人に飼われている動物だけでなく、飼い主の有無に関わらずすべての動物が、動物愛護管理法の対象となります。そのため、実験動物も動物愛護管理法の定義にある「動物を虐待したり捨てたりすることは犯罪であり、違反すると懲役や罰金に処せられる」といった法律の対象に含まれるわけです。

動物愛護管理法では、実験動物や愛護動物に対する虐待や遺棄を行った場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。

また、動物実験に対する福祉の理念基準として、イギリスの研究者が唱えた「3Rの原則」というものがあります。3Rの原則は以下の通りです。

• Refinement(動物の苦痛軽減)
• Reduction(使用数の減少)
• Replacement(代替法の活用)

医薬品の開発などで動物実験を行わざるを得ない場面においても、3Rの原則に基づいて実施することが求められています。

(参照:動物愛護管理法の概要)
(参照:実験動物の適正な飼養保管等を推進するために)

動物実験廃止に向けた企業の取り組み

日本でもサステナビリティを目指して動物実験廃止に向けた取り組みを行う企業があります。取り組みの一例を見ていきましょう。

安全性保証体系を確立し動物実験を廃止

2013年から化粧品や医薬部外品の動物実験を廃止した化粧品メーカーの取り組み事例です。なお、社会に対して安全性を証明する必要が生じた場合に対しては、これに限らないとしています。

基本的には動物実験を行わずに、原材料の安全性を保証する体系として「情報による保証」「代替法による保証」「人によるパッチテストなど(最終確認)」の3ステップで確認します。また、有識者や学術関係者などとの会議を重ね、有効な代替法の研究開発を継続するとしています。

動物実験の代替として3次元培養皮膚モデルを構築

化粧品をはじめ医薬品も扱う企業では、動物実験の代替として3次元培養皮膚モデルを構築するといった取り組みが行われています。

イギリスの大学との共同研究による細胞工学の手法を用いて、長期の評価試験が可能な3次元培養皮膚モデルが作成されました。人工皮膚モデルによって化学物質の毒性を裏付けるため、動物を傷つけないほか直接人間への安全性を確認できるのが特徴です。

動物実験の代替法として、今後の開発に期待が高まっています。

(参照:動物を使わない実験方法『代替法』)

サステナビリティを重視して動物実験をしていない商品を選ぼう

動物実験を廃止するために私たちにできることは、動物実験をしていない商品を選ぶことです。最近では、「残虐性がない」という意味で「クルエルティフリー」とも呼ばれています。

クルエルティフリーの商品は、製品開発において動物実験が一切行われていないものです。クルエルティフリーの商品の認知が広がり需要が高まれば、動物実験をしている商品は求められなくなります。

人間が美しくなるために、多くの動物たちが犠牲になっているという事実を知り、一人ひとりが行動を起こしていきましょう。

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