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サーキュラーエコノミー企業に投資するメリットと注意点
Tuesday, 27 May 2025

今回は、サステナブル業界への投資としてサーキュラーエコノミーが注目される背景や、この分野に投資するメリット、有望な関連企業や株式銘柄などをわかりやすく解説します。
サーキュラーエコノミーとは?
サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは、製品や素材、資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小限化することで、資源利用に伴う環境負荷を低減する経済システムです。
サーキュラーエコノミーは、主に以下の3つの原則に基づいています。
1.廃棄物と汚染の発生を設計段階から防ぐ
2.製品と素材を可能な限り長く使用する
3.自然システムを再生する
これにより、資源の効率的な利用と経済成長の両立を目指します。
一方、従来のリニアエコノミー(直線型経済)は「資源を採取→製品を製造→使用→廃棄」という一方向の流れで構成されています。このモデルでは、資源の枯渇や廃棄物の増加といった環境問題が深刻化しているのです。
サーキュラーエコノミーは製品の設計段階から裁量やリサイクルを考慮し、資源を循環させることで廃棄物の発生を最小限に抑えることを目指しています。
https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sp/contents/column/20230630_circular-economy.html)

サーキュラーエコノミー企業に投資する3つのメリット
サステナブル業界の中でもサーキュラーエコノミー(循環型経済)に取り組む企業への投資は、環境への配慮と経済的利益の両立が図れるといったメリットがあります。
ここでは、サーキュラーエコノミー企業に投資する3つのメリットを見ていきましょう。
<1.環境規制への対応で市場シェア拡大が期待できる>
世界的に環境規制が強化される中、サーキュラーエコノミーを実践する企業は法規制への迅速な対応が可能です。これにより、競合他社に先駆けて市場に製品やサービスを提供し、市場シェアの拡大が期待できます。
例えば、リサイクル素材を活用した製品開発や、製品のライフサイクル全体を考慮した設計は、環境意識の高い消費者からの支持を集め、新たな市場開拓のチャンスとなります。
<2.廃棄物削減=コスト削減による収益力の向上>
サーキュラーエコノミーの導入によって、廃棄物の削減が可能となり、それに伴う処理コストの削減が実現します。また、資源の再利用やリサイクルを通じて、原材料費の削減や新たな収益源の創出が期待できる点もメリットです。
例えば、製品の再製造や部品の再利用を行うことで、製造コストの削減と同時に、環境負荷の低減にも貢献できます。
<3.ESG評価の向上で機関投資家からの注目が集まりやすい>
環境・社会・ガバナンスの観点から、企業を評価するESG投資が拡大する中、サーキュラーエコノミーに取り組む企業はESG評価が高まりやすくなります。
高いESG評価は、機関投資家やサステナブルファンドからの投資家対象として注目される要因となり、資金調達の面でも有利に働きます。
また、ESG評価の向上は、企業のブランド価値や社会的信頼の向上にも寄与するのです。
(参考:https://www.7andi.com/sustainability/statement/knowledge/article/circular-economy/index.html#sec02-3)

注目のサーキュラーエコノミー関連企業
国内や海外ではサーキュラーエコノミーに積極的に取り組む企業があります。どのような事業を行っているのか、国内外の企業の事例を見ていきましょう。
あわせて読みたい: SDGs目標12:つくる責任 つかう責任/食品ロス削減のためにできること
<国内企業>
事務機器や光学機器を製造する国内のメーカーでは、製品の設計段階からリサイクルや再利用を考慮し、資源の有効活用を推進しています。また、使用済み製品の回収・再生プロセスを確立し、循環型社会の実現に貢献しています。
加えて、国内のプラスチック産業をリードする企業では、廃プラスチックの再資源化やリサイクル素材を活用した製品開発に注力しています。建築資材やインフラ関連製品においても、環境負荷の低減を目指した取り組みを推進中です。
<海外企業>
世界最大の消費財メーカーでは、製品のパッケージングにおいて再生可能素材の使用やリサイクル可能なデザインを採用し、廃棄物の削減に取り組んでいます。
また、サプライチェーン全体での環境負荷低減を目指して躍進中です。さらにリサイクル事業を展開するノルウェーの企業では、自動回収機や選別技術を提供し、リサイクル効率の向上に貢献しています。
特に廃棄物からのエネルギー回収やリサイクル事業に強みを持っています。

サーキュラーエコノミー企業に投資する際の注意点とリスク
サーキュラーエコノミー企業への投資を効率的に進めるためには、リスクを理解し、適切な情報収集と分析を行うことが重要です。ここでは、投資する際の注意点とリスクを確認していきましょう。
<成熟市場との競争>
サーキュラーエコノミー関連企業は、既存の成熟市場において競争を強いられることがあります。特に、価格競争や市場シェアの獲得において、従来のビジネスモデルを持つ企業との競争が激化する可能性があります。
<法規制の変化による影響>
各国でサーキュラーエコノミーに関連する法規制が導入・変更されることがあります。これにより、企業の事業戦略や投資計画に影響を及ぼす可能性があるため、最新の法規制動向を注視する必要があるでしょう。
<中長期的視点が必要な分野であること>
サーキュラーエコノミーの取り組みは、短期間での成果が見えにくい場合があります。そのため、投資家は中長期的な視点で企業の成長性や持続可能性を評価し、忍耐強く投資を継続する姿勢が求められるでしょう。
(参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/ce_finance/pdf/20200119_2.pdf)

循環型経済の成長性を見据えた投資戦略を
サーキュラーエコノミーは、資源の効率的な活用と廃棄物の最小化を目指す持続可能な経済モデルであり、企業の競争力強化や新たなビジネスチャンスの創出に寄与します。
環境規制の強化やESG投資の拡大を背景に、サーキュラーエコノミー関連企業への投資は、中長期的な成長が期待される分野です。将来を見据えた戦略的な投資先として、今後さらに注目が高まっていくことでしょう。
