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ガラスのアップサイクル|取り組みの背景にある建築用ガラスの問題点

Monday, 11 March 2024

ガラスは一度熱で溶かして原料に戻し、再びガラスにリサイクルされるイメージがあるかもしれません。しかし、ビルやホテル、マンションといった建物に使用する建築用ガラスの場合、原料に戻して再びガラスとして再利用されることは難しいとされており、ほぼ埋め立て処分されています。

この現状を改善するために取り組んでいるのが、ガラスのアップサイクルです。今回は、建築用ガラスの問題点やガラスのアップサイクルの事例を解説します!

ガラスにはリサイクルできるものとそうでないものがある?

私たちに身近なガラスといえば、ジュースなどの飲料が入っている「ガラス瓶」や飲み物を飲むときに使う「グラス」などではないでしょうか。

ガラス瓶は基本的にリサイクル対象となっていて、分別ごみとして扱われます。自治体で回収されたガラス瓶は、色分けされ、異物などを取り除いた後、リサイクルセンターで細かく砕かれ、「カレット」と呼ばれるガラスくずの状態になります。

その後、溶かしてガラス瓶に再生されるものもあれば、住宅用断熱材の「グラスウール」や土木材料などにリサイクルされるものもあります。

一方、グラスはリサイクルの対象になっておらず、割れて廃棄する場合、不燃ごみとして埋め立て処分されます

グラスには「耐熱ガラス・クリスタルガラス・ソーダガラス」などの種類があり、原料がバラバラで再び熱すると有害物質が発生する恐れがあるからです。そのため、割れたグラスも埋め立て処分せざるを得ないとされています。

(参照:
カレット
容器包装ごみが生まれ変わるまでガラスびん
ガラスに関する情報収集・分析 )

建築用ガラスもリサイクル不可?アップサイクル推進の背景にある問題

実は建築用ガラスも、グラスと同様にリサイクル不可とされています。ガラスは天然素材の珪砂を主原料とし、ソーダ灰や石灰石を混ぜたものです。

しかしビルやホテル、マンションなどの窓に使われる建築用ガラスの場合、安全性を重視して断熱性や機能性を高めるため、ガラスの表面に金属膜を塗布して加工しています。

純粋なガラスだけでなく不純物が多く含まれているため、熱で溶かしたときに有害物質が出る恐れがあり、リサイクルができないのです。建築用ガラスの有効利用率は26%程度とされており、とあるガラス会社だけでも、年間28トンのガラスが廃棄されているといいます。

安全で機能性の高いガラスほど、リサイクルできず埋め立て処分されている現状を変えていくために、取り組みを開始したのがガラスのアップサイクル事業です。

廃棄ガラスをそのまま生かし、地球への環境負荷を少しでも減らそうという思いで取り組みが進められています。

(参照:https://www.1242.com/harenosuke/harenosuke_blog/20221017-284295/)

建築用ガラスのアップサイクル事例

では、建築用ガラスのアップサイクル事例にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは廃棄された建築用ガラスのアップサイクル事例を見ていきましょう。

<ピアスやネックレスなどのアクセサリーに>

美しく安全に加工されたガラスを、ピアスやネックレスなどのアクセサリーにアップサイクルしています。

ガラス特有の透明度があり、太陽の光に照らされるとキラキラと輝く自然な美しさが魅力です。割れたガラスの形状をそのまま生かしているところもポイント。同じ形はふたつとない、価値の高いアクセサリーになっています。

<割れた形状を生かしてスタンドミラーに>

廃棄ガラスの割れた形状を生かしたスタンドミラーにアップサイクルしています。波のようにも見えるミラーは、木製の板に差し込む形で立てられるようになっていてデザインもおしゃれ。使わないときには裏返しにしてインテリアとして飾っておくのも素敵です。

ガラスが持つ魅力が最大限に引き出された、スタンドミラーです。

自動車の廃ガラスや昭和型版ガラスのアップサイクルも

建築用ガラスに限らず、自動車の廃ガラスや昭和型版ガラスなどのアップサイクル事業が広がっています。ここではこれらのアップサイクルについて、簡単にご紹介します。

<自動車の廃ガラスのアップサイクル>

自動車の廃ガラスは、通常リサイクルされて断熱材として再利用されることがほとんどです。しかし、他の用途もないかと考えたところ、廃ガラスを原料に戻さずそのまま生かすアップサイクルが浮かび、食器やグラス、花瓶などへの再利用が実現したといいます。

再生ガラスは不純物が含まれているため、見た目的に気泡が多い特徴があります。また、廃ガラスの色合いや透過率によって、ブルーや濃い目のグレーなど、独特な風合いに仕上がるのが魅力です。品質を過剰に厳しくしないことが、手作り感や温かみのある製品を生み出しています。

<昭和型版ガラスのアップサイクル>

昭和初期から創業しているガラス店では、昭和型版ガラスのアップサイクルへの取り組みを行っています。昭和型版ガラスとは、2~6mm程度で笹や花などの柄が入ったガラス板のことです。

昭和30年~50年代頃までが製造の全盛期で、窓や食器棚、ガラス障子と呼ばれる引き戸に使われていました。

しかし、需要の低迷により廃棄処分に悩まされ、アップサイクル事業を開始したとされています。柄の異なる昭和型版ガラスから生まれる器やランプシェードは、実家を思わせる懐かしさやレトロ感のあるデザインが人気を集めています。

ガラスのアップサイクルが環境汚染を防ぐ一手になる!

ガラスは溶かして再びガラスにリサイクルされるイメージがありますが、建築用ガラスは機能性が高いがゆえに、熱を加えると有害物質が発生してしまい、リサイクルが困難です。

廃棄ガラスのアップサイクルは、環境汚染を防ぐ一手になります。ぜひ、これを機にガラスのアップサイクル製品に着目してみてはいかがでしょうか。

あわせて読みたい: アップサイクルとは?リサイクルとの違いや注目される背景を解説

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