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Urban Farmingは環境保護にどのように貢献するのか?
Wednesday, 23 October 2024
今回はUrban Farmingは環境保護にどのように貢献するのか、都市環境が抱える環境問題も併せてわかりやすく解説します!
都市環境が抱えるさまざまな環境問題
都市環境が抱えるさまざまな問題には、以下のようなものが挙げられます。
・大気汚染
・水質汚染
・廃棄物管理
・騒音公害
・ヒートアイランド現象
・緑地や農地の減少
・エネルギー消費による温室効果ガスの排出
・洪水リスク
・急速な都市化や人口増加
都市環境では車両の排気ガスや工場の排煙などで、大気汚染が深刻化しています。これによって、呼吸疾患や心臓病、アレルギー症状の増加などが生じています。
水質汚染は産業排水だけでなく、家庭から出る油や洗剤などの生活排水も大きな要因のひとつです。また、大量の家庭ごみや産業廃棄物、プラスチックごみは埋立地の限界や土壌汚染、海洋汚染なども引き起こしています。
さらに、家庭や産業での化石燃料を原料としたエネルギー消費によって、地球温暖化や気候変動の問題が年々深刻化しているのが現状です。
都市の急速な拡大や人口密度の増加は、これらの問題を悪化させ、都市生活者の健康問題や生活の質の低下を招く可能性があります。便利で暮らしやすいイメージのある都市環境ですが、実は多くの環境問題、社会問題を抱えているのです。
環境や人、社会に配慮した持続可能な都市づくりを実現するためには、これらの問題に対する幅広い対策が必要といえます。
(参照:水質汚染最大の原因は生活排水?現状や理由を紹介)
Urban Farmingは環境保護にどう貢献する?
都市環境におけるさまざまな環境問題の解決策として注目されているのが、「Urban Farming」です。Urban Farmingは都市型農業とも呼ばれており、都市部のビルの屋上や空き地などのスペースを有効活用して野菜や植物を育てる農的スタイルを指します。
ここからは、Urban Farmingが環境保護にどのように貢献するのか、詳しく見ていきましょう。
食料の供給チェーン短縮によるCO2排出量の削減
Urban Farmingでは、育てた野菜は基本的に育てた人や都市住民が消費します。そのため食材の輸送距離が短縮され、輸送にかかる二酸化炭素 (CO2)排出量が大幅に削減できるのです。
これは、温暖化の原因となる化石燃料の使用と温室効果ガスの排出減少につながるため、温暖化や気候変動の抑制に貢献できます。
都市のヒートアイランド現象の緩和
Urban Farmingによって都市内に緑地が増えます。それによって周囲の気温を下げる効果が働き、ヒートアイランド現象の緩和が期待できるのです。また、植物には蒸散作用があり周囲の空気を冷やす働きもあるため、温暖化の抑制にもつながります。
特に屋上農園やコミュニティーガーデンなどの広い敷地の緑化が進むと、ヒートアイランド現象の緩和効果も大きいといえるでしょう。
コンポスト化による食品廃棄物の削減
Urban Farmingでは、家庭や市場から出る食品廃棄物をコンポスト(堆肥化)し、肥料として再利用することで食品ロス削減と、土壌の健康促進に貢献します。
また食品廃棄物を再利用することで、焼却によるCO2排出量を削減するほか、焼却灰の埋め立て地への負担を軽減できます。
雨水の循環利用
Urban Farmingでは、雨水の循環利用を促進し、都市部での水資源の管理を改善します。節水技術を活用し水のリサイクルシステムを徹底することで、持続可能な灌漑(かんがい)と水資源の管理が実現できます。
また、屋上農園では土壌が雨水を貯留してくれるため、雨水が下水へ流れ込む量を抑えられ、川の氾濫防止になるのも良い点です。
(参照:水環境回復のための節水かんがいの導入)
(参照:屋上緑化の効果・注意点)
都市環境の空気質の改善
植物には大気中のCO2を吸収し、酸素を放出する働きがあります。Urban Farmingで都市に緑地が増えることで、大気中のCO2を吸収し放出される酸素量が増え、空気質の改善に貢献します。
都市環境の空気がきれいになることで、大気汚染に関連する健康被害の低減につながるのもメリットです。
(参照:きれいな空気は経済にも大きな効果を生む)
コミュニティーを通じた環境問題への教育と意識の向上
Urban Farmingのコミュニティーを通じて、都市生活者が環境問題や持続可能な都市づくりに理解を深める機会が増えます。仲間同士で学び活動することで、環境問題への知識も深まり、問題に対する意識向上に貢献できます。
地域のコミュニティー強化により、環境保護活動に取り組む機会が生まれる
コミュニティーファームなどで住民同士の交流が促進され、協力し合って環境保護活動に取り組む機会が生まれます。共通の趣味や楽しみを持つ仲間との間で連帯感が生まれ、環境問題の解決に向けた持続可能な都市づくりの推進が期待できるでしょう。
Urban Farmingを取り入れて都市の環境保護に貢献しよう!
都市環境では大気汚染やエネルギー消費によるCO2の排出、ヒートアイランド現象や廃棄物管理など、環境に関する多くの問題を抱えています。
Urban Farmingを取り入れることで、食料の輸送距離が短縮し、移動時に発生するCO2排出量が削減されたり、緑地の増加によってヒートアイランド現象が緩和されたりと、さまざまな環境保護に貢献できます。
都市部における環境問題を改善し、より良い暮らしを目指すためにも、持続可能な都市づくりを促進するUrban Farmingを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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