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Urban Farmingの問題点とは?解決策もチェック!

Wednesday, 09 October 2024

Urban Farming(アーバンファーミング)は「都市型農業」を指し、ビルの屋上や遊休地などの空きスペースを利用して農産物を育てることを意味します。

コロナ禍に普及したリモートワークの影響で、ウェルビーイング(※)が注目され、自分で野菜を育てて食べるUrban Farmingの需要が高まりました。

その一方で、Urban Farmingは都市部の限られたスペースで農産物を育てていくため、問題点も多いといわれています。そこで今回は、Urban Farmingの問題点と解決策について解説します。

※ウェルビーイング…精神的、身体的、経済的に満たされた幸福な状態であること。

農ある暮らし「Urban Farming」の役割

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Urban Farmingは都市型農業とも呼ばれ、ビルの屋上や駅構内、遊休地など限られたスペースを利用して野菜や植物を育てることを指します。

パリやロンドン、ニューヨークなどで広がり、ここ数年で日本の大都市でもUrban Farmingが導入されるようになりました。

自然の少ない都市で行うUrban Farmingは、子どもの食育や地域住民の交流の場としての役割も果たしています。また、都市部における環境負荷の軽減や食料自給率向上にも役立っています。さらに、遊休地の有効活用や防犯、防災面にもつながるとして期待が高まっているのです。

Urban Farmingの主な問題点

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東京の新宿や渋谷をはじめ、名古屋や神戸などの都市に広がるUrban Farmingですが、多くの役割を果たしている一方で、土地不足や費用面、土壌汚染や技術面などさまざまな問題を抱えているのも事実です。

ここからは、Urban Farmingの主な問題点を見ていきましょう。

都市部における土地の入手困難さ

都市部は土地の需要が高いため、Urban Farmingを行うための土地を入手するのが困難な点が挙げられます。

そのため、Urban Farmingはもともと喫煙所として利用していたビルの屋上や、オフィス前の園庭、空地などを有効活用して行うケースが多い傾向です。

(参照:「アーバンファーミング」の潮流はくるか?渋谷区立植物園が「食と農」をテーマにリニューアル)
(参照:都市農業市場レポートの概要)

土地利用料・運営コストの高さ

 

Urban Farmingは土地利用料や運営コストの高さが否めません。都市部は人口密度が高く、土地の供給が限られています。また、商業施設や住宅開発など、他の用途でも需要があり、競争率が高いことも土地の価格が上がりやすい理由のひとつです。

さらに、土壌の改良や水の供給システムなどの運営費用に加え、日本では都市部で農業活動する際に特定の許可や法的手続きが必要になるため、それに伴う費用も発生します。

(参照:grow FIELD 導入ガイド)
(参照:都市農業振興基本法のあらまし)

土壌汚染の問題

 

都市部の環境特有の問題ともいえるのが、土壌汚染の問題です。都市部の土壌は、過去の産業活動や建設資材などから出る鉛やヒ素、カドミウムなどの重金属によって汚染されている場合があります。

重金属は植物に吸収され、農作物を通じて人体に影響をもたらす可能性があるため注意が必要です。また、工場跡地などの土壌に残留する化学物質にも気をつけなければなりません。

さらに、廃棄物や汚水の適切な処理によって病原菌や寄生虫が土壌に混ざり、農作物に影響するなど、食の安全性が脅かされる可能性もあります。

(参照:顕在化する土壌汚染問題とその対応)
(参照:土壌汚染を考える)

水資源の確保と管理

 

水資源の確保と管理が難しいのもUrban Farmingにおける問題点のひとつです。水資源の確保と管理が難しい理由は、都市環境特有のいくつかの要因が関係しています。

例えば都市部では水の供給源が限られており、家庭や産業用の水が優先されるため、農業用の水を確保するのが難しいという点です。

また、都市部は排水の影響も受けやすいため、水質が悪化することによって、農作物への品質や安全性に悪影響を及ぼす可能性があるといわれています。

(参照:東京 の水,現状 と将来)
(参照:1.水質汚染の最大の原因は生活排水)

栽培管理、湿度・温度管理の難しさ

 

Urban Farmingは栽培管理や湿度・温度管理の難しさも問題に挙げられています。ここ数年は猛暑や集中豪雨、台風などの影響を受けやすい状況です。

昨今の夏場の気温上昇により、夏季の都市部の屋上は焼けつくような暑さになるといいます。また、強風で資材が飛ばされて周囲に被害を及ぼすリスクも高い傾向です。

加えて、気候の影響だけでなくネズミやカラスといった害獣による農作物への被害も少なくありません。Urban Farmingは都市部特有の栽培管理の難しさを抱えているのです。

(参照:「アーバンファーミング」の潮流はくるか?渋谷区立植物園が「食と農」をテーマにリニューアル)

Urban Farmingの問題点に対する解決策

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Urban Farmingの問題点を見てきましたが、それぞれに対策を講じることで問題解決へと導けます。

Urban Farmingの問題点に対する解決策は、以下のようなものがあります。

・もともと存在するオフィスビルの屋上や遊休地の有効活用。地下空間の活用。
→土地の入手困難さと土地利用料の解決につながる。地下空間はコスト削減にもなる。

・公的助成金の利用や農産物の直販、レストラン・マーケットなどへの卸売。コミュニティの利用料や寄付を募る。
→運営費用の確保につながる。

・土壌検査、コンテナ栽培や垂直農法を実施。
→土壌汚染による植物被害、健康被害を防ぐことにつながる。

・環境に配慮した農法の研究やスマート農業技術の導入
→水循環システムを導入するなどして、水資源を確保。スマート農業技術の導入で、湿度・温度管理がしやすくなり、安心・安全でおいしい農産物の生産につながる。

(参照:消費者との距離が近い?!話題の都市型農業について徹底解剖!)
(参照:地下農場とは。都市農業の生産効率向上に期待高まる地下農場の事例)
(参照:持続可能な食と農をアグリテインメントな世界へ | プランティオ株式会社)

Urban Farmingの問題を解決して持続可能な未来に期待!

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Urban Farmingは、土地が入手しにくいことや運営コストの高さ、土壌汚染や水資源の確保など、都市部特有の問題を抱えています。しかし、対策を講じることで解決できることも多いです。

持続可能な食生活に通ずるUrban Farmingの今後に、期待していきましょう。
あわせて読みたい: 音楽のサステナビリティを目指すアーティストたちの取り組み

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