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イギリスのUrban Farming|防空壕を再利用した地下農園も

Thursday, 31 October 2024

都市型農業のUrban Farmingが世界的に注目されていますが、イギリスでも活動が盛んになっています。イギリスでUrban Farmingが促進される理由のひとつは、英国政府が掲げる食料自給率の向上です。

今回はイギリスでUrban Farmingが進められる背景や、イギリスにおけるUrban Farmingの成功事例を解説します!

イギリスでUrban Farmingが進められる背景

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Urban Farmingは、都市の空きスペースを利用した民主的な農業を指します。パリやニューヨークなど海外の都市ではUrban Farmingが当たり前に浸透していますが、イギリスもそのひとつです。

2012年のロンドンオリンピックの際に、市長が「ロンドンに2012カ所の農園を作る」と宣言をしました。現在ロンドンのUrban Farmingは3,080カ所以上に増え、市民の手によって年間120万食分の野菜が生産されています。

また、イギリスでUrban Farmingが進められる背景には政府が2040年までに食料自給率を2倍にすると目標を掲げていることも理由にあります。イギリスはEU離脱による、ヨーロッパからの輸入食材の値上がりが懸念されているためです。

さらにSDGsを考慮したフードマイレージ(食料輸送にかかるCO2排出量)を減らす目的

としても、地産地消が実現するUrban Farmingに熱い視線が注がれています。

(参照:野菜は「買う」から「つくる」時代へ。小さな菜園があふれる東京を目指してみんなで育む自給自足カルチャー|東京感動線)
(参照:意外な場所を活用したアーバンファーミングの利点)

イギリスにおけるUrban Farmingの成功事例

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もともとアロットメントと呼ばれる市民農園で自家栽培を行う文化が根付いていたイギリスですが、現在は空き地だけではなく、使われなくなった倉庫や地下室などを活用し、多くのUrban Farmingのプロジェクトが実施されています。

ここではその一部を見ていきましょう。

防空壕を再利用した地下農園

 

第2次世界大戦時に防空壕として使われていた地下トンネルに農園を作り、Urban Farmingを行う事例があります。

バーティカルファーミングと呼ばれる垂直農法を採用し、LED照明と栄養剤入りの水分を浸透させたリサイクル絨毯の端切れを使用して、水耕栽培を行っています。そのため、土や日光、農薬を使わずに地下室での栽培が可能になるというわけです。

また、水を循環利用しているため、一般的な農地での栽培に比べて水の使用量を70%削減できるといいます。加えて栽培に使われるトレーは縦に積み上げられるため、限られた空間を有効活用できるのも垂直農法の特徴です。

さらに光と温度は完璧に調整されているため、気候に関係なく安定して新鮮なハーブやブロッコリースプラウト、水菜、ワサビ菜などのマイクログリーンを栽培できます。収穫から最短4時間で消費者に届けられるのもポイントです。

(参照:意外な場所を活用したアーバンファーミングの利点)

ロンドンのバス停周辺のスペースを利用したコミュニティーファーム

 

ロンドンのバス停周辺のスペースを利用してコミュニティファームを作り出すプロジェクトがあります。

公共の交通機関を利用する人々に食べられる植物の栽培や収穫の機会を提供しながら、都市の景観を美化している点が特徴です。

都市部の限られたスペースを有効活用するだけでなく、バスを待っている時間までも有効活用できる新たな食料供給の場としても注目されています。

誰でも自由に野菜を育てられる空き地を活用したコミュニティーファーム

 
 
イギリスのトッドモーデンには、コミュニティー主導のUrban Farming活動があります。
街中の空き地で野菜や果物、ハーブなどを栽培し、誰でも無料で自由に収穫できるという仕組みです。

「許可ではなく、許しを得なさい」をスローガンに、誰かの土地に勝手に植えて育ってから許しを得るという方法で活動が進められてきました。

始まりのきっかけは2008年のリーマンショックで社会的な不安が募る中、街の人々が自分たちの手で食を作り、未来に希望を持とうと決意し、行動したことでした。

勝手に種を植えるのは強引に感じる手法ですが、放置していた雑草だらけの土地がきれいに生まれ変わり、たくさんの野菜や果物が実って人々が喜んでいる姿を見て、多くの地主は活動に賛同してくれるといいます。

コミュニティーファームは食を生み出すだけでなく、地域住民の交流の場としても重要な役割を担っています。活動はボランティアベースで行なわれ、月に2回の畑作業で参加しやすい点もポイントです。

また、「自由にできないから」などの理由で行政からの補助金などは使わず、寄付金や講演料などで活動資金や必要な資材を賄っています。

この活動は街の条例が変わるほど普及し、新しい自宅を建てる際には庭をつけることが義務化されました。Urban Farmingの活動を通して、住民同士の信頼関係が深まり、街の景観や住み心地にも良い影響を与えています。

(参照:EAT LOCAL KOBE | 世界の都市農家インタビュー〈2〉野菜・ハーブ・果実が取り放題。英国市民が育てる街中農園。)

イギリスのUrban Farmingを参考に、種を撒くことから始めてみよう!

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イギリスでUrban Farmingが進む背景には、輸入食材の値上がりを懸念して、食料自給率の向上を目指そうと呼びかける政府の影響があります。

また、リーマンショックを機に食の在り方に目を向け、自らの手で食材を生み出していこうという都市住民の熱意も関わっています。

地産地消が実現し、フードマイレージの軽減や地域のコミュニティー活性化にもつながるイギリスのUrban Farmingは、世界の手本となることでしょう。都市生活者はぜひ、空いているプランターに種を撒くことから始めてみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたい: 食品におけるサステナビリティ|食の問題と私たちができること

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