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サーキュラーエコノミーに向けたサーキュラーデザインとは?
Wednesday, 27 March 2024
サーキュラーデザインとは、製品やサービス、建築といったライフサイクル全体の設計を、循環型にしていくためのデザインです。
今回は、サーキュラーデザインの概要やエコデザインとサステナブルデザインとの違い、サーキュラーデザインの6つの戦略や事例の一部を解説します!
サーキュラーデザインとは?
サーキュラーデザインとは、製品やサービス、建築などライフスタイル全体の仕組みの設計を循環型にしたデザインを指します。
ものづくりのみならず、サービスや都市開発などライフタイル全般において、廃棄物を出さない資源の循環型を目指すデザインにするのが特徴です。
従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」のリニア型(直線型)の経済システムを脱却するためにも、サーキュラーデザインの設計に期待が寄せられています。
エコデザインやサステナブルデザインとの違い
サーキュラーデザインが、エコデザインやサステナブルデザインと異なるのは「廃棄物を出さないデザイン」という点です。エコデザインは、資源やエネルギー消費を抑え、できるだけ環境に負荷をかけない設計を指します。
また、サステナブルデザインも同様に、地球環境に配慮したデザインのことです。一方、サーキュラーデザインは、環境に負荷をかけないことに加え、資源を循環利用して廃棄物を出さないよう設計されています。これがエコデザインやサステナブルデザインとの大きな違いです。
サーキュラーデザインの6つの戦略
サーキュラーデザインは、いくつかの戦略に基づいてデザイン・設計されています。ここでは、世界のサーキュラーエコノミーを推進するイギリスの団体「エレン・マッカーサー財団」が提示する、サーキュラーデザインの6つの戦略を見ていきましょう。
<1. 製品の長寿命化>
耐久性が高く修理しやすい製品にデザインし、製品の長寿命化を図ることで、長く使えるようにする戦略です。欠けた器を漆でより美しいものへと修復する、日本の伝統的な「金継ぎ」は、サーキュラーデザインのひとつといえます。
<2. 製品の所有から「サービスの利用」へ>
「消費者が製品を所有する」ことから、サブスクリプションやレンタル、シェアリングなどへの「サービスを利用する」というシステムへの移行も戦略のひとつです。
音楽や動画配信のサブスクリプション、自動車や自転車のシェアリングサービスなどが浸透しています。
<3. 循環可能な素材の利用>
生分解性のプラスチックなど、循環可能な素材の使用や、再生しやすいシンプルな素材を利用することです。
必然的に有害物質などが除外されるため、環境に優しいだけでなく生産者や消費者にとっての安全性も向上します。
<4. 脱・物質化>
製品の利用価値を保ちながら、物質化からデジタル化へ移行することです。例えば電子書籍や音楽配信などがこれにあたります。
現在既に、書籍やCDなどを持たずに本や音楽を楽しめるデザインが主流になりつつあります。しかし、世界のICT(情報通信技術)を稼働させる電力は、2025年には世界の電気の約20%を使用すると予測されているのです。
環境負荷の増大を招く可能性もあるとして、リスク管理と俯瞰的視点が求められています。
<5. モジュール化>
モジュール化とは、修理や交換、再製造をしやすいモデルにデザインすることです。製品のパーツを自分で簡単に取り外せることで、修理や交換がしやすく、結果的に長く使えるメリットがあります。
また、カスタマイズが可能になり、消費者の要望に応えやすくなることで、商品の経済価値が下落する陳腐化の防止にもつながります。
<6. 生物資源化>
これまで石油由来の原料で作られていた製品を生物資源化することで、生分解が可能になり環境負荷を抑えられます。
例えば、竹素材で作られたストローや歯ブラシ、バイオマスプラスチックのレジ袋などです。これらの素材は廃棄後土に還るため、環境負荷が低いとされています。
ただし、生分解可能とはいえ完全に土に還るには4~5年かかるものもあるため、生態系に影響を及ぼさないか配慮する必要があります。
以上、6つの戦略に基づいて製品やサービスなどのデザインを行い、サーキュラーエコノミーの実現を目指しています。
サーキュラーエコノミーに向けたサーキュラーデザインの事例
ここからは、実際に導入されているサーキュラーデザインの事例を2つご紹介します。
<堆肥可能で植物を育てられるオムツ>
従来のオムツは、使用後に燃えるごみとして焼却処分されるのが一般的でした。紙オムツは生後2年半で1人あたり約500kgを廃棄しており、プラスチック類に使用する原油に換算すると約1,400 リットルに相当します。
しかし、サーキュラーデザインのオムツは堆肥化して黒土に変換し、果実などの植物を育てるための肥料として役立ちます。育てた収穫物は赤ちゃんの離乳食やジュースなどに活用できるのもポイントです。
子ども一人あたり1年分のオムツから、約1,000kgの黒土が生産できるといわれています。
(参照:https://dycle.org/en)
<粘土でできた生分解性のスピーカー>
粘土、革、コルクなど自然素材で作られた、80%生分解性のスピーカーがあります。配線など一部は非生分解性ですが、ほとんどが自然由来の素材で作られているのが特徴です。
世界的に電子ごみ問題が深刻化する中、電子廃棄物を減らせるスピーカーとして期待が高まっています。
身の回りのサーキュラーデザインを見つけてみよう!
製品やサービス、建設など、ライフサイクル全般を循環型に設計していくサーキュラーデザイン。サーキュラーエコノミーの実現にも重要となるアプローチです。
消費者としてできることは、サーキュラーデザインを生活に取り入れていくことです。まずは、身の回りのサーキュラーデザインを見つけ、取り入れやすいものから導入してみてはいかがでしょうか。
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