• Green Growers
  • BLOG
  • 気候変動による海洋生物への影響|海で何が起きている?

BLOG -Circular Economy and Environment

気候変動による海洋生物への影響|海で何が起きている?

Friday, 24 November 2023

海では今、気候変動の影響で海水温や海面の上昇、酸性化などさまざまな変化が起きています。その変化によって被害を受けているのがサンゴを含む海洋生物です。

今回は気候変動による海の変化や海洋生物への影響を解説します!

気候変動による海の変化

気候変動で気温が上昇していますが、それは陸地に限ったことではありません。
温室効果ガスの排出によって海水温が上昇し、海でも温暖化が起きているのです。
ここでは気候変動による海の変化を見ていきましょう。

海水温の上昇

地球の表面の70%以上を覆う海は、太陽エネルギーを吸収し放出する役割があります。海が太陽からの熱を吸収することで、気温が上がり過ぎないよう調整し、地球の気候を安定させているのです。

過去50年間に地球温暖化によって蓄積された熱の9割以上は、海が吸収しているといいます。しかし、地球温暖化が進むにつれて海が吸収する熱も増え、海水温が上昇しているのです。

気象庁のデータによると、2022年までのおよそ100年間にわたる日本近海の海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.24℃となっています。

これは世界全体の海水温の上昇率、+0.60℃よりも高く、海水温が1℃上がると海の生態系に大きな影響を及ぼすといわれています。

また、海水温が上がると海からの水蒸気が多く発生するため、大雨のリスクも増すのです。近年相次いで発生している集中豪雨も、海水温の上昇が一因と考えられています。

(※参考:Climate Change: Ocean Heat Content)
(※参考:海面水温の長期変化傾向(日本近海))

海面の上昇

海水温が上がると海水が膨張し、海面が上昇します。また、気温が上がり氷河や氷床が溶けるのも海面上昇の原因のひとつです。

海面の上昇は海岸線近くの自然環境、そして沿岸に住む人々を脅かします。実は1901年から2010年までの間に、海面は19cm上昇したといいます。このままいけば21世紀中には最大82cm上昇すると予測されているのです。

既にフィジー諸島共和国、ツバルなど海抜の低い島国では高潮で海水が住宅や道路に入りこむ被害が起きています。日本では海面が1m上昇すると、国内の砂浜の9割以上が失われると予測されています。

(※参考:海面上昇の影響について)

海の酸性化

海が吸収するのは太陽からの熱だけではありません。海は大気中の二酸化炭素(CO2)の約3割を吸収するといわれています。しかし、人間の活動で排出されるCO2が増え、海中のCO2は増えすぎてしまっています。その結果、海の酸性化が進んでいます。

CO2は水に溶けると酸性になる性質を持ちます。酸性の海では、サンゴや貝類、ウニなどの炭酸カルシウムの骨格を持つ生物は、骨格を作りにくくなってしまいます。

(※参考:意外と知らない。「海の温暖化」が生物に与える影響を学ぼう)

海中の酸素欠乏

海に溶け込むCO2の量が増えると、化学反応で酸素が消費され、海中の酸素が減っていきます。また、サンゴはCO2を吸収し酸素を生成しますが、海水温の上昇でサンゴが白化し、その役割を失っているのです。こうした原因が、海中の酸素欠乏を招いています。

酸素欠乏によってプランクトンが生きられなくなると、それをエサにする魚たちにも影響が生じます。酸素が欠乏した海が広がると、生物が住めない環境になっていくと考えられているのです。

気候変動による海洋生物への影響

気候変動による海の変化を見てきましたが、これらの変化は海洋生物に大きなストレスを与えます。ここでは実際に起きている海洋生物への影響を見ていきましょう。

サンゴの白化現象

環境省の調査では、2016年に沖縄県の石垣島と西表島の中間に位置する国内最大のサンゴ礁「石西珊瑚」で大規模な白化現象が見られたと報告されています。

サンゴ全体の97%が白化し、このうち5割が死滅・完全白化していたのです。サンゴ白化の主な原因は海水温の上昇と考えられています。

海水温の上昇が続くと、サンゴに共生する植物プランクトンの褐虫藻(かっちゅうそう)が抜け出て、サンゴの骨格が透けて白く見えます。これが白化現象です。

白化したサンゴは栄養が受け取れなくなり、やがて死滅してしまいます。また、死滅しなかったサンゴも、もとの状態に戻るには長い年月がかかります。サンゴ礁は海に住む魚たちの住みかであり、CO2を吸収して酸素を放出するといった重要な役割を持つ存在です。

サンゴの白化現象以外にも、アメリカ西海岸で養殖されていたカキの大量死や、北海道のサンマの水揚げ量の半減、九州海域で獲れていた魚が北の海域に移動するなどの影響が見られています。気候変動が進む限り、こうした海洋生物への影響は拡大していくと考えられるでしょう。

(※参考:国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」で9割以上が白化現象 環境省調査)

気候変動による影響を回避するにはCO2排出量の大幅削減が不可欠

海の変化をもたらしている大きな要因は、気候変動による気温の上昇です。人間の活動による温室効果ガスの排出を抑えない限り、気温の上昇は止められません。

気温の上昇を緩やかにすることで、海への影響を軽減し、海洋生物への被害防止につながります。豊かな海と生態系を守るために、CO2排出量の削減を目指していきましょう。

あわせて読みたい: 気候変動による海面上昇によって起きている問題

Share

  • Facebook
  • Twitter
  • whatsapp
  • URLをコピー

BLOGのおすすめ記事

CLOSE

greengrowers

URLをコピーしました