脱炭素時代を切り開く次世代エアモビリティー|現状・課題・展望を解説
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脱炭素時代を切り開く次世代エアモビリティー|現状・課題・展望を解説

Thursday, 06 March 2025

近年、世界中で脱炭素化の取り組みが加速しています。その中でも注目されているのが、空の移動革命をもたらす「次世代エアモビリティー」です。

電気モーターを動力とする、「空飛ぶ車」や「ドローンタクシー」は、CO2排出量削減や交通渋滞の緩和など多くの可能性を秘めています。しかし、技術面や法整備、インフラの整備など課題も多いのが現状です。

今回は脱炭素時代を切り開く次世代エアモビリティーの現状とその課題、将来への展望をわかりやすく解説します。

次世代エアモビリティーとは?3つの条件をチェック  

次世代エアモビリティーとは、電動モーターを動力とし、コンピューター制御技術を採用した小型航空機のことです。「ドローン」「空飛ぶ車」がこれにあたります。

 

次世代エアモビリティーとみなされるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

 

1.電動モーターを動力としていること

2.操縦士がいなくても自動操縦可能なこと

3.垂直離陸ができること

 

次世代エアモビリティーはジェット機のように、ガソリンなどの燃料を燃焼させる内燃機関を持たないため、エネルギー効率が良く、CO2排出量の大幅な削減が期待できます。

 

また、電動モーターを動力としているため、モーターの回転数の変化速度が非常に速くなるのも特徴です。複数のプロペラを用いて回転速度を調整するため、姿勢や運行経路を自動制御できます。さらに複数の小さなプロペラは騒音を低減する効果もあります。

 

加えて垂直着陸ができることで、空港のような広い滑走路が不要になるのもメリットです。

 

上記の3つの条件を満たし、次世代エアモビリティーが導入されることで、従来のジェット機が入りにくかった都市部でも運用できる可能性が高まっています。

 

(参考:https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20241016.html)

次世代エアモビリティーの課題 

最近ではコンピューター制御技術が進歩したことでドローンが普及し、農業や撮影目的などで活用される場面が増えてきました。

 

しかし、物資輸送や人が搭乗できる次世代エアモビリティーとして市街地の空を行き交うには、安全性などの課題をクリアしなければなりません。具体的にどのような課題があるのか見ていきましょう。

 

<垂直離陸技術の向上> 

実用化するために最も重要課題とされるのが垂直着陸技術の向上です。現時点では、軍用機での実用化に限定されており、民間機の認証をクリアできている航空機はありません。

 

垂直離陸が困難とされる理由は、垂直飛行と水平飛行の機構を変更する過程で、ギャップ領域が生まれることです。民間の認証をクリアするためには、このギャップ領域を限界まで短くして安全性を高めることが求められます。

 

<長時間の飛行が可能なバッテリーの開発> 

次世代モビリティーの実用化には、長時間飛行できる全固体軽量高密度バッテリーの開発も課題のひとつです。これは電解質を固体にした軽量でエネルギー密度の高いバッテリーを指します。

 

高エネルギー密度のため、長時間の飛行が可能になるほか、固体電解質によって液体漏れや発火のリスクが低く、安全性が高いのも特徴です。

 

<自動運転の信頼性向上>

次世代モビリティーを実用化するにあたり、自動運転の信頼性向上も大きな課題となっています。垂直離着陸などの新しい設計が採用されているため、人工的に風の流れを発生させる風洞試験で空力挙動を再現し、解析することが求められています。

 

また、自動制御システムがリアルタイムでのセンサー入力に基づいて、最適な飛行ルートや姿勢制御などの動作を検証するという点も重要課題です。

日本における次世代エアモビリティーの現状 

現在日本では、次世代エアモビリティーの商用運航に向けて技術開発や研究、実証飛行などに取り組んでいます。ここでは、日本における次世代エアモビリティーの取り組み状況をチェックしていきましょう。

 

あわせて読みたい: 電気自動車はSDGs達成にどう貢献する?目指すべき脱炭素社会

 

<日本政府が「空の移動革命に向けたロードマップ」を制定> 

日本政府は次世代エアモビリティーの実用化を目指し、「空の移動革命に向けたロードマップ」を制定しました。

 

このロードマップは、空飛ぶ車やドローンタクシーが都市や地方の課題解決を担う可能性に着目し、官民が取り組むべき技術開発や法整備などについてまとめたものです。

 

ロードマップでは、2025年に開催される関西万博において空飛ぶ車の商用運航を行い、認知度を高めるとしています。

 

その後、2020年後半には都市部での二次交通や地方での観光や離島の交通手段として商用運航を拡大し、2030年にはサービスエリアや路線、便数の拡大を図る方針です。

 

(参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/air_mobility/pdf/008_01_02.pdf)

 

<安定した飛行を実現するための技術開発と研究> 

科学技術の開発を行う、日本の公的研究機関「国立研究開発法人産業技術総合研究所」では、次世代エアモビリティーの商用化に向けて、安定飛行を実現する研究や技術開発に取り組んでいます。

 

一人乗り機体の最小速度を時速35kmまで小さくすることに成功し、垂直離着陸に近い状況をつくる研究も進行中です。

 

また、ドローンがバッテリー切れの場合にも、落下せず安定した姿勢を保つ技術など、トラブル時にも危害を最小限に抑えるための研究を行っています。

 

(参考:https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20241016.html)

脱炭素社会の次世代エアモビリティーは観光・ビジネス・地域交通として期待! 

空飛ぶ車やドローンタクシーといった次世代エアモビリティーは、都市部での移動や離島・山間部など地域交通としての利用や、観光やエンターテインメント、荷物輸送や救急医療用輸送など、多岐に渡る用途での運航が期待されています。

 

特に山梨県では次世代モビリティーの社会実装に向けたイベントやセミナーを開催し、県民への理解促進やビジネス参入の支援を実施中です。

 

次世代エアモビリティーは交通手段の多様化だけでなく、脱炭素社会の実現や地域格差の改善、災害時の迅速な対応など幅広い分野での貢献が期待できます。

 

私たちの未来の交通や生活を大きく変える可能性を秘めた「空の移動革命」が実現する日も近いかもしれません。

 

(参考:https://www.pref.yamanashi.jp/documents/112154/yamanashi-pref-sorakuru-pamphlet.pdf)

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