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ミニマリズムの思想が若者に広がる理由|背景にある問題とは?
Monday, 08 July 2024
多くの課題があり、物や情報であふれる現代社会。本当に大切なことを見失わず生きていくためには、ミニマリズムの思想がひとつの生きる術として求められているのです。今回は、ミニマリズムの思想が若者に広がる理由を解説します。
ミニマリズムの思想が若者に広がっている?
そもそもミニマリズムとは、自分にとって本当に大切なことに注力するために、無駄なものを省いて生きるという考え方を指します。
自分自身のライフスタイルを見直し、不要な物や無駄な時間を手放して、本当に必要な物や時間を大切にして心地良く生きるというのがミニマリズムの思想です。このようなミニマリズムの思想で生きる「ミニマリスト」と呼ばれる人たちが、若者の間で増えています。
ミニマリストは必要最小限の物しか持たないシンプルな暮らしをしているため、コンパクトな住まいでも十分生活できます。
最近は若者の間で風呂無し物件の人気が高まっていることも、ミニマリズムの浸透から見られる現象といえるでしょう。
若者の間でミニマリズムの思想が広がっている理由
必要最小限の物で生きるミニマリズムが若者に浸透しているのは、単に「物欲が減ったから」というわけではありません。背景には経済情勢や情報過多の社会など、さまざまな要因があります。
ここからは、若者の間でミニマリズムの思想が広がっている理由として考えられることを解説します。
物が多いことが幸せではないと理解しているから
生まれたときから物に囲まれている若者は、「物が多い=幸せ」ではないと理解しているといえます。欲しかった物を手に入れても満足するのは一瞬で、また別の物が欲しくなるでしょう。
買っても買っても心が永遠に満たされることはありません。また物が増え過ぎて管理しきれなくなり、暮らしが困難になっている人も少なくないでしょう。
現代の若者は、物に振り回される生活を脱却し、シンプルな暮らしをして自分のやりたいことやより良い人間関係を築いていくことの方が幸せになれると感じているのです。
(参照:心の豊かさを人間関係に求める若者たち)
時間の使い方を見直したいから
物や情報であふれた現代社会では、自身の時間管理が非常に重要です。家の中に物が多いと探し物や片づけに時間を奪われてしまいます。
また、テレビやスマホなど大量に入ってくる情報に目を奪われてしまい、気づいたら何時間も経ってしまっていたというケースもあるでしょう。
勉強や仕事、プライベートなどやりたいことがたくさんある若者は、極力無駄な時間を減らしたいという考えからミニマリズムを実践する人も少なくありません。
デジタル疲れが起きているから
仕事や勉強でのPC作業に加え、SNSやネットニュースをチェックするなど、長時間デジタル機器に触れてデジタル疲れを起こしている若者も多い傾向です。
デジタル疲れは心身の不調やストレス、脳疲労などにも影響するといわれています。スマホから距離を置く「デジタルミニマリズム」の実践が、心身の健康や集中力を取り戻せるとして、若者に注目されているのもミニマリズムが広がる理由のひとつです。
経済情勢で将来に不安を感じているから
「賃金が上がらない」「収入が少ない」という理由から、ミニマリズムを取り入れる若者もいます。
また、物価高の影響もあり、無駄な出費は極力減らしたいという人も少なくありません。さらに高齢化社会による経済悪化を想像し、貯金や投資にまわしたいと考える人もいます。
このように厳しい社会情勢でも乗り切っていけるように、「シンプルな暮らしで幸せを感じる」というライフスタイルの改善からミニマリズムが広がっていると考えられます。
地震に備えて物を減らしたいため
地震が頻発していることから、少ない物でも豊かに暮らすミニマリズムを実践する若者もいます。大きな家具や多くの食器などを持たなければ、地震によって倒れたり割れたりする被害が減るからです。
部屋に散乱した物でケガをするリスクも防げるでしょう。震災によって失う物が少なくて済むのも、ミニマリズムが浸透する理由のひとつです。
シェアサービス・レンタルサービスの普及
シェアサービスやレンタルサービスの普及により「買う必要がない」という概念が生まれたのも、ミニマリズムが広がった要因といえます。
車や自転車、楽器など購入費用が高いものも借りられる時代です。物を持たなくても豊かな暮らしや体験が実現できることがわかり、ミニマリズムを選択するのでしょう。
(参照:未来コンセプトペディア)
情報社会による影響
現代はインターネットの普及により、多くの情報が得られる時代です。ネットを通じて手軽に情報が得られるようになり、若者の間でミニマリズムの認知も広がったと考えられます。
実際、YouTubeやSNS、ブログなどでミニマリズムを実践する人の発信は多く見られます。自分の暮らしを見直すきっかけとなり、シンプルな暮らしに憧れてミニマリズムを取り入れる人は多いのでしょう。
ミニマリズムが若者に広がる背景には経済情勢や社会の変化がある
ミニマリズムが若者に広がる背景には、物価高や賃金の低さなどの経済情勢や、デジタルやインターネットの普及、レンタルやシェアサービスの普及といった社会の変化などが深く関係しています。
どんな状況下であっても、幸せを感じ豊かに暮らしていきたいという若者の思いがミニマリズムの浸透につながっているのでしょう。ぜひこれを機に自分のライフスタイルを見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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