動物福祉に貢献するプラントベースフードの可能性|重要性や影響も解説
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動物福祉に貢献するプラントベースフードの可能性|重要性や影響も解説

Tuesday, 25 March 2025

私たちの食生活は、健康や環境だけでなく動物福祉にも大きな影響を与えています。近年、注目されているプラントベースフードは、動物性の原料に依存しない新しい食の選択肢であり、取り入れることで動物たちの命や福祉に配慮したライフスタイルが可能です。

今回はプラントベースフードが動物福祉にどのように貢献できるのか、その可能性や重要性をわかりやすく解説します。

畜産業界における動物福祉の現状 

そもそも動物福祉とは、動物が心身ともに健康で幸福であり、環境とも調和している状態を指します。

 

飼育される動物たちが健康で幸せな環境で暮らしているかを重視した概念であり、人間の管理下にある畜産動物や実験動物などの生活の質にフォーカスしたものです。

 

動物福祉は英語で「アニマルウェルフェア」とも呼ばれています。アニマルウェルフェアは、1960年代にイギリスの家畜福祉の活動家が、家畜への虐待性や薬剤の投与などが行われる工業生産的な畜産業の実態を本に示したことがきっかけで、世界的に広まりました。

 

しかし、日本は欧米諸国に比べてアニマルウェルフェアの認知度が低い傾向があり、2024年時点で認知度は25%という調査結果が出ています。

 

欧米諸国でアニマルウェルフェアに配慮した飼養管理が進む中、日本は遅れをとっている状況です。

 

例えば鶏の飼育環境でいうと、ケージフリーで飼育される鶏はわずか1.11%で、残り98.89%はケージに閉じ込められて飼育されています。

 

また、食用豚の飼育環境においても同様です。妊娠した母親豚は「妊娠ストール」という、後ろを振り向くこともできないほど狭い檻に入れられて生活しています。

 

欧米諸国など妊娠ストールを禁止する国は増えているものの、日本では9割以上の農場で妊娠ストールが使用されている状況です。

 

さらに日本で飲水設備のない「と畜場」は、86%といわれています。畜産業界における動物福祉の現状を変えるためには、家畜の快適性に配慮した飼養管理の実施と、消費者意識の変化も求められています。

 

(参考:https://www.jaws.or.jp/welfare01/

https://www.alterna.co.jp/42692/

https://arcj.org/issues/animal-welfare/1percent-cage-free/)

プラントベースフードの普及が動物福祉や人に与える影響 

畜産業の実態を知り、動物福祉の観点からプラントベースフードを選択する人も増えつつあります。プラントベースフードが普及することで、動物福祉や人に良い影響を与えてくれるためです。ここでは具体的にどのような影響があるのか見ていきましょう。

 

あわせて読みたい: ヴィーガンが環境保全になる理由|畜産業による環境負荷とは

 

<動物虐待の削減>  

プラントベースフードの選択は、動物の肉や皮、乳牛を得るための虐待や不必要な殺処分を減らします。畜産業での劣悪な環境の飼育や、残虐な方法での殺処分が行われているといった報告が挙げられているのです。

 

プラントベースフードは植物由来の大豆や穀物、野菜などを原料としているため、動物虐待の削減につながる選択肢です。

 

また、プラントベースフードの普及が広がることで、動物が「商品」として扱われる文化を見直すきっかけにもなります。

 

(参考:https://www.hopeforanimals.org/topics/10-abuse-in-japan/)

 

<畜産動物の搾取を軽減

プラントベースフードの需要が高まることで、肉や乳製品などの動物性食品への需要が減少します。その結果、畜産業が縮小し、動物が飼育や搾取される機会が減ると考えられるでしょう。

 

工場畜産での過密飼育やケージに閉じ込めた強制餌食など、畜産動物への非人道的な扱いを減らすことが可能です。

 

(参考:https://www.hopeforanimals.org/dairy-cow/slaughter-cattle/)

 

<野生動物と生息地の保護>

畜産業は牛のゲップや排泄物から大量の温室効果ガスを排出するほか、生産過程で土地の利用や水の消費量が多いことで知られています。これによって温暖化や森林破壊が促進され、野生動物の生息地が奪われているのです。

 

プラントベースフードの移行で畜産肉の生産量が減ることで、温暖化や森林破壊を防ぎ、野生動物の生息地や命の保護につながります。

 

(参考:https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/l_tiku_manage/attach/pdf/zizoku-6.pdf)

 

<倫理的選択肢の提供>

動物性食品に代わるプラントベースフードが広がることで、消費者が動物に優しい選択をしやすくなります。

 

これまで野菜や豆類、穀類などを中心とした菜食メニューに物足りなさを感じ、動物性食品を食べない選択肢にハードルが高く感じていた人も多いかもしれません。

 

しかし、プラントベースフードは肉や魚などの動物性食品の代替品として、ハンバーグや唐揚げ、餃子といった食べ応えのある商品も多いことから、消費者も選びやすく、結果として動物に優しい選択がとりやすくなっています。

 

<動物福祉に対する意識の向上>  

プラントベースフードが普及することで、動物の権利や福祉に対する議論が活発化し、消費者や企業の倫理観に影響を与える可能性が広がります。

 

食品選択が動物の命に与える影響を考えるきっかけを提供し、動物福祉に関心を持つ人が増えていくことでしょう。

 

<動物福祉だけでなく環境や人の健康にもつながる>

プラントベースフードが広がることで、動物福祉だけでなく、環境や人への健康にもつながります。なぜなら豚コレラや鳥インフルエンザなど、家畜の生育環境によって広がる伝染病もあるからです。

 

家畜伝染病は人に媒介する可能性もあり、健康被害を及ぼす恐れもあるといわれています。プラントベースフードの普及は家畜伝染病を減らし、動物だけでなく環境や人の健康を守ることに貢献します。

 

(参考:家畜伝染病の感染源と感染経路)

プラントベースフードの選択は動物福祉に大きく貢献! 

プラントベースフードは動物福祉の向上と持続可能な未来を実現するための重要な選択肢です。

 

動物食品への依存を減らすことで、畜産動物の搾取や虐待を軽減し、環境負荷の軽減にもつながります。それと同時に、消費者が倫理的な選択をする機会を提供し、意識向上や行動にも大きく貢献します。

 

動物や環境に優しい未来を作るために、ぜひ小さな一歩として今日の食事からプラントベースフードを始めてみてはいかがでしょうか。

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