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バナナの驚くべきアップサイクル術!廃棄問題と多様な事例を解説
Thursday, 09 May 2024
今回はバナナにまつわる廃棄問題の現状や、バナナの多種多様なアップサイクル事例を解説します!
バナナにまつわる廃棄問題
バナナの廃棄問題は、大きく分けて3つあります。1つ目は「規格外で廃棄されるバナナ」、2つ目は「バナナの収穫時に大量廃棄される茎」の問題、3つ目は「食品加工時に廃棄される皮」の問題です。
それぞれの問題について、詳しい内容や現状を見ていきましょう
規格外で廃棄されるバナナ
加工食品事業を展開する企業の調査によると、規格外で廃棄されるバナナはフィリピンで年間2万トン、日本では年間1,000トンにも及ぶといわれています。
バナナはデリケートなフルーツであるため、栽培過程で傷つきやすく、変形したり熟しすぎたりなどの規格外のバナナが発生してしまいます。
市場に流通することができないため、果肉には影響がなくまだおいしく食べられるにも関わらず、捨てざるを得ないのです。
現在日本は中南米やフィリピンから年間約100万トンものバナナを輸入していますが、バナナ農家は生産量のうち約20%のバナナが規格外で流通せず廃棄されているといいます。
規格外バナナの廃棄問題は、食品ロス増加の大きな要因であるとして改善が求められているのが現状です。
世界で廃棄されるバナナの茎は年間約10億トン!
廃棄されているのは、規格外バナナだけではありません。実は年間で約10億トンのバナナの茎が廃棄されている事実があります。
バナナの茎は植物であるため、「自然分解できるのでは?」といった疑問が浮かぶかもしれません。しかし、大量に廃棄されたバナナの茎は放置され、腐敗による悪臭や土壌・地下水を汚染するなど、環境に悪影響を及ぼしているのです。
バナナの茎を焼却処分することで二酸化炭素が排出され、温暖化を引き起こす原因になってしまいます。10億トンの大量廃棄されたバナナの茎は、環境被害を招くとして問題視されているのです。
(参照:植物廃棄物のアップサイクリング。バナナから生地をつくる「BANANA CLOTH推進委員会」の未来)
加工時に廃棄されてしまうバナナの皮
バナナの皮は食品加工時に捨てられてしまいます。その数、年間およそ350万トンとされています。バナナの皮は「食べられない」「使い道がない」などと思われがちです。
実際は、バナナの皮は調理次第でおいしく食べることができます。栄養価も高いため、本来は食材として活用できる部分であるのに、誤解から大半が捨てられてしまっているのが現状です。
規格外バナナのアップサイクル事例
バナナに関する廃棄問題が深刻化する中、規格外バナナや廃棄されるバナナの茎、不用とされるバナナの皮を生かしたアップサイクルが、廃棄問題を解決する一手になるとして、期待が高まっています。
ここからはバナナのアップサイクルとして、まずは規格外バナナのアップサイクル事例を見ていきましょう。
規格外バナナを使ったパウンドケーキ
傷があったり、熟しすぎたりして流通できない規格バナナを活用した、アップサイクルのバナナパウンドケーキです。
規格外とはいえ果肉には影響がないため、完熟したバナナの甘味がふんだんに味わえる贅沢な一品に仕上がっているのが特徴。キャラメルパウダーを加えた生地がバナナの甘さにマッチし、コクと深みのある味わいが楽しめます。
規格外バナナの濃厚さを生かしたアイスバーや飲むヨーグルト
生産や商品化の過程において規格外となったバナナを使ったアイスやヨーグルトがあります。規格外とされていても完熟で濃厚なバナナの風味が落ちているわけではないことから、その濃厚さを最大限に生かしたアイスバーと飲むヨーグルトへのアップサイクルが実現しました。
「もったいない」という精神から生まれたアップサイクル食品は、そのコンセプトに対しても好評価が寄せられているところです。
規格外バナナをチョコレートでコーティングしたお菓子
傷や変形、熟しすぎによって廃棄される予定の規格外バナナをダークチョコレートでコーティングした、アップサイクルのオーガニック菓子があります。
規格外とされ、流通できずに廃棄されるバナナのほとんどは市場に出回るものと変わらないおいしいバナナです。
このうま味を生かし、ダークチョコレートでコーティングすることで、体に優しいオーガニックな絶品菓子へと生まれ変わっています。チョコバナナの風味が好きな人や、体に優しいおやつを求める人におすすめです。
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規格外バナナと皮も丸ごと使ったアップサイクルジャム
規格外バナナに加え、本来捨てられてしまう皮まで丸ごと使ったアップサイクルのバナナジャムがあります。食品加工時に廃棄されていた有機バナナの皮を、ジャム一瓶の内容量のうち20%ほど配合しています。
バナナのしっかりとした甘味がありながら、レモンが配合されていることによる、爽やかさも感じられるのが特徴。パンやヨーグルトに添えるのはもちろん、カレーの隠し味としてもおすすめです。
バナナの茎を利用したアップサイクル事例
規格外バナナのアップサイクルを見てきましたが、ここからは年間10億トンもの廃棄が出るとされる、バナナの茎を利用したアップサイクル事例をご紹介します!
バナナの茎を生地に使った布製品
大量に廃棄されるバナナの茎から糸生地を作り、布製品としてアップサイクルを実現する事例があります。バナナの茎は繊維が細いため、コットンと混ぜ合わせて生地にしているのが特徴。
厚手のトートバッグや、バナナならではの繊維を生かした靴下や軍手など、さまざまなアイテムがそろっているのが魅力です。
バナナの茎をアップサイクルしてマクラメバッグに
マクラメバッグとは、ざっくり編まれたニットのようなデザインのバッグを指します。こちらは廃棄されるバナナの茎から化学繊維を使わずに抽出し、ハンドメイドの糸を紡いでいくアップサイクルバッグです。
一つひとつ手作業で行うため時間がかかりますが、ハンドメイドならではの個性的な風合いと丁寧な作りが魅力。素朴で温かさも感じつつ、麻のような涼しげでおしゃれな仕上がりがポイントです。
バナナを最大限に活用するアップサイクル製品を見つけてみよう!
今の時代、気軽に手に入りやすいバナナは、生産量が多い分、市場に流通できない規格外バナナや不用とされるバナナの茎、加工時によるバナナの皮など、廃棄問題も深刻であることがわかりました。
しかし、その解決策となるのがバナナの多種多様なアップサイクル術です。バナナのアップサイクルは今後ますます広がっていくと期待できます。
バナナを最大限に活用するアップサイクル製品を見つけて、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
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